中小の瓶飲料がピンチ 資材・原材料の値上げラッシュも価格転嫁しにくく板挟み 悲鳴を上げる業界団体の長
ラムネ・シャンメリーなど中小企業が手掛ける瓶飲料が存続の危機に直面している。 資材や原材料のサプライヤーからの値上げラッシュに対して、製品に価格転嫁しにくく板挟みになっているためだ。 全国シャンメリー協同組合の翠田章男理事長(トンボ飲料社長)は「円安が手伝って、原材資材、その他が大変な高騰で我慢できない状況になっている」と悲鳴を上げる。
資材・原材料の高騰に加えて、瓶容器はサプライヤーの工場閉鎖などが尾を引き入手困難な状況が続いている。 人手不足も深刻化。「人手不足は本当に大きな課題で、なかなかトンネルを抜けられるような感じがしない」と述べる。 活路については、価格転嫁が容易でないことを踏まえ付加価値化を提唱。「付加価値を上げるようなことを考えていかないと立ちいかなくなる。飲料の中でシャンメリーは一年に一回の商談ということもあり比較的、付加価値を上げやすい。我々、中小の大事な商品であるシャンメリーの火を決して消さないように供給を続けていきたい」と呼びかける。
ラムネ・サイダーの瓶飲料にもコストアップの波が押し寄せる。 全国清涼飲料協同組合連合会(清協連)・全国清涼飲料工業組合連合会(清工連)の松山博正前理事長は「ラムネを製造していた組合員はかつて日本全国に5000軒あったが、今やわずか50軒足らず。物価の値上げが凄まじく、国内においてはなかなか転嫁できないため、海外に一縷の望みを託して頑張っているのが日本の中小企業であると思っている」と語る。 農水省では食品輸出促進対策事業の重点品目に清涼飲料も挙げ、ラムネの輸出額を、21年の77億円(2万2000㎘、1億1000万本)から26年にその倍増となる154億円を目標に置いている。 25年度は業界全体で2億本の生産量を目標にしているものの、瓶容器や、ラムネ玉付きキャップなどの不足が足を引っ張り輸出機会の損失が起こっている。
全国シャンメリー協同組合、清協連、清工連は5月23日、通常総会を開催。このうち、清協連と清工連では役員改選を行い、両組合の新理事長に仲原孝志氏(九星飲料工業社長)が就いた。 就任後、囲み取材に応じた仲原理事長は「この業界に入って44年になる。同業者の集まりの中で工場見学や技術交流会で勉強させていただき成長させていただいた。今度はそれをお返ししたい。瓶の調達などの問題もあるが、中小ならではの製品を発信していきながら持続可能な成長を目指していきたい」と意欲をのぞかせる。