「日本人の美徳」持った人気キャラたち、海外進出でも“曖昧さ”貫く真意とは? メーカーに聞く
■キャラクターが謙虚や自虐だって!? 海外では理解されづらい“曖昧さ”という魅力
昨今、日本のアニメやマンガ、サブカルの浸透により、日本の“KAWAII”文化を受け入れる土台は着々と作られている。そうした日本のキャラクターを好きになり商品を買ってくれる海外ファンも多いが、“真の世界観”を理解してもらうには、まだまだ課題も多い。 アジア圏では、日本に近しい感覚を持っているのか、世界観ごと受け入れた上でキャラクターのファンになってくれている印象だという。一方で、欧米ではなかなかすべての世界観を理解していただいている、という段階までいけていないのが現状だ。 例えば、2012年の発売以来、日本で着実に人気を伸ばしている“すみっコぐらし”も、海外への周知が難しいキャラクターのひとつ。 「例えば『電車ですみっコにいたい』『喫茶店でもすみっこにいたい』などのちょっとした内向的な思いや、キャラクターの特徴でもある『自分が何者か分からない』『食べ残された残り物』など。少しネガティブにも捉えられる曖昧な部分に関しては、ストレートに受け入れていただくのには時間がかかってしまうのかな、と感じる国もあります」 世界観を丸ごと受け止める日本のファンと違って、海外、特に欧米ではどうしてもニュアンスが伝わりづらい部分がディスアドバンテージに。同社のキャラクターは、名前もそのままローマ字に置き換えており、すみっコぐらしでは「Neko」「Tokage」「Tonkatsu」など日本語のまま。社内でキャラクター名を変えるかどうかという議論も出たそうだが、“世界観をそのまま受け取ってもらいたい”という信念のもと、ローマ字表記での展開を継続中だ。
■「癒しと言えばリラックマ」世界の共通認識にしていきたい
日本でリラックマが人気の理由を聞いてみると“共感性”と同社は言う。 「『元気はつらつ!いつもあなたを応援するよ!』という性格よりは、いつでもそっとその方自身に寄り添って、ホッとできる居場所のようなキャラクターであることが特徴で、そこが日本で多くの方に受け入れていただいていると思っています」 海外でもリラックマに関しては「RELAX」というキーワードがわかりやすく、比較的浸透はしやすい。忙しすぎる毎日をリラックマに癒してもらうなど、コンセプトに共感して好まれる傾向も。そのため、どのキャラクターも、まだまだ伸びしろがあると期待を寄せる。 「日本人の内向的な考え方・日本人精神と思われている部分は、実は、国や地域は違くとも、誰しも少しは持っている部分なのかもしれない、と感じます。そんな自分に寄り添ってくれるキャラクターは、逆に日本以外の地域ではあまりないのではないでしょうか。『他にはないサンエックスキャラクターならではのもの』として、共感し喜んでいただいているのは共通する嗜好かもしれません」 これまでの世界各地での認知拡大を通して、BtoCイベント、SNS、現地ライセンス商品化・プロモーションの拡充など、今後も海外展開で力を入れていきたい分野はたくさんあるという。 「どれか一つだけを突出させるのではなく、これらの様々な要素の歯車をうまく回し、継続していくことで現地のファンを着実に増やしていき、最終的には長期的に海外で愛されるような、キャラクターブランドを確立したいと思っています。一過性に消費されるのではなく、着実に末永く海外市場を開拓していき、全世界にサンエックスキャラクターのファンを作りたい。そして最終的には、世界中で『誰もが知っているキャラクター』になるように育てていきたいと思っています」