「社内コミュニケーションをよくしたい」の裏に隠された重要なニーズとは?
ビジネスパーソンであれ、企業組織であれ、ビジネスでは「一回切り」「たまたま」「まぐれ」の成功は通用しない。顧客が欲するサービス・商品を「継続的に」「必然的に」「狙い通りに」提供し続けて、初めて「仕事」といえる。つまり、仕事とは「人の心を捉え続けること」であり、それを実現するために必要なのは、顧客の「真のニーズ」を的確に捉えるためのマインドセットと仕組みづくりだ。本連載は、『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(田尻望著/かんき出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。キーエンス出身の経営コンサルタントが体系化した「ニーズの捉え方」の考え方とノウハウの一端を紹介する。 第4回は、「ニーズの裏のニーズ」とその他のニーズ(顕在ニーズ・潜在ニーズ)の構造的な違い、ニーズの深掘りの必要性について解説する。 ■ 「機能・特長・行動・状態」に紐づくニーズと、「利点・成果・感動」に紐づくニーズ 「ニーズの裏のニーズ」の基本的な構造を理解しておくことで、お客様の「ニーズの裏のニーズ」をより的確かつスピーディに捉えることができます。 まず知っておいてほしいのが、「ニーズの裏のニーズ」とその他のニーズの構造面には明確な違いがあることです。 その違いを知っていると、「ニーズの裏のニーズ」とそれ以外のニーズを明確に判別できるようになります。 顕在ニーズと潜在ニーズを合わせた通常のニーズは、「機能・特長・行動・状態(事象)」に紐づいています。 一方で、「ニーズの裏のニーズ」は、「利点・成果・感動」に紐づいています。この説明だけだと少しわかりにくいと思いますので、具体例を挙げて説明しましょう。 例えば、あるクライアント企業において、次のような顕在ニーズがあるとします。 (1) 資料を自動かつ高速に出力する複合機が欲しい (2) 社内コミュニケーションをよくしたい (3) 仕事が属人的になっているので改善したい (1)の「資料を自動かつ高速に出力する複合機が欲しい」というのは、「機能」や「特長」の問題です。 (2)の「社内コミュニケーションをよくしたい」というのは「行動」の問題です。 また、(3)の「仕事が属人的になっているので改善したい」というのは「状態」の問題です。 このように、顕在ニーズは、基本的にすべて「機能・特長・行動・状態(事象)」に紐づいているのです。