「老化」が進むと起こる体の変化を医師が解説 ミドル世代必見の“健康を保つ秘訣”とは
年齢を重ねるとともに、体が衰えていくことは避けられません。しかし、定期的に自分の体をチェックすることで、異常を早期に見つけることができます。そこで今回は、老化によって起こる体の変化や健康維持のためにできるチェック方法について、「田中整形外科医院」の田中先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
年を取ると体はどうなる?
編集部: 加齢とともに、体にはどんな変化が起こりますか? 田中先生: 体のあらゆる部分に様々な変化が起こります。例えば、脳への血流が悪くなると脳血管性認知症、血管が硬くなると動脈硬化、骨が脆くなると骨粗しょう症などの状態に近づいていきます。 編集部: どれも聞いたことがあります。 田中先生: そうですね。「老化」と聞くと、こうしたイメージが浮かぶ人は多いのではないでしょうか。しかし、じつは30~40代といった、いわゆる高齢になる前の中年層での生活習慣が老化に関係しているのです。中年層では、生活習慣病やメタボリックドミノなどが予防すべき健康課題の具体例として挙げられます。 編集部: メタボリックドミノとはなんですか? 田中先生: 簡単に言えば、生活習慣病から様々な病態を引き起こす連鎖のことです。食生活の偏りや運動不足などがドミノを倒す最初のきっかけとなり、その結果、まず肥満などになり、次に高血圧、食後高血糖、脂質異常症といった病態を引き起こします。その後、脂肪肝など肝臓の機能障害が起きて動脈硬化が徐々に進行し、心疾患や脳血管障害、さらには糖尿病などにつながっていくのです。
加齢による体の変化を予防するためにはどうしたらいい?
編集部: 早い段階での対策が必要なのですね。 田中先生: はい。最初にお伝えした認知症や動脈硬化、骨粗しょう症などを防ぐためには、30~40代のうちから対策をする必要があります。30代と聞くと「まだまだ若い」と感じるかもしれませんが、代謝の低下や生活習慣病の前兆は、30代で出てくることが多いのです。 編集部: それらを予防するためにはどうすればいいのでしょうか? 田中先生: 過食や栄養の偏りによって、血糖値や中性脂肪が上がってしまう人は多いので、まずは食事を意識してみてください。例えば、おにぎりやパン、お菓子などの糖質の多いものが、コンビニでは安価で手に入ります。忙しい現代においては、頼らなくてはいけない部分も多々ありますが、現代人は糖質を摂りすぎる傾向にあります。これらを少し意識して減らし、不足しがちなタンパク質やビタミン、ミネラルをしっかり補充し、栄養バランスを整えるだけでも様々な疾患の予防効果は期待できます。 編集部: 年をとっても元気でいたいです。 田中先生: そうですよね。要介護となる原因をみてみると、男性は脳血管障害が多いようです。動物性脂肪が関係しているというデータもあるので、肉の食べ過ぎには注意して、植物性の脂肪や魚に置き換え、動脈硬化を防ぎましょう。一方、女性が要介護となる原因は、骨折や関節症が多いとされています。こちらは、タンパク質をしっかり摂取し、適度に運動することが大切です。自分のライフスタイルや食事・運動習慣を一度見直してみることをおすすめします。