【独占速報】ヤマハXSR900GP試乗「デザインも走りも、バイクが最高にアツかった80年代を思い出す!」
WGPで活躍した伝説的マシン「YZR500」をイメージ
2024年の大阪/東京モーターサイクルショーでFZ400RやRZV500Rをモチーフにした外装キットが純正アクセサリーとして発表され、80年代に青春をバイクブームとともに過ごしたライダーたちの熱視線を集めているヤマハのXSR900GP。日本での発売前に、イギリス人ジャーナリストのアダム・チャイルド氏から試乗レポートが寄稿された! まずは車両解説と公道試乗のインプレッションをお届けする。 【画像22点】ヤマハXSR900GPの特徴を写真で解説! FZ400R風、RZV500R風の外装も紹介
注目を集めているネオレトロカテゴリーのニューモデル、XSR900GPには少なくとも2つの見方がある。マルボロカラーをまとったヤマハのV4レーシングマシン、YZR500がWGP(世界グランプリ)の輝かしい2ストローク時代最後期を支配していた80年代~90年代にタイムスリップするか、そうでないかだ。どちらの見方になるかはあなたの年齢と、どれくらい長く2輪の乗り物全般を愛してきたかによるだろう。 マレットという髪型が初めて流行した80年代をスポーツバイクとともに生き、呼吸してきた人々がエモーショナルなスタイルのXSR900GPを目前にしたならば、エディ・ローソンやウェイン・レイニーが駆り、WGPのタイトルを獲得した、燃えるような赤×白のファクトリーYZRと切り離して見ることは不可能である。 もう少し若い世代の人にとっては魂の揺さぶりはそれほど顕著ではないかもしれないが、それでも十分に強いものだ。48歳の私にとってXSR900GPは、青春を無為に過ごしていた10代の頃のバイク、つまり、FZ、FZR、TZRといった、特徴的なフラットトップの燃料タンクとYZR500由来のスタイルを備えた、速くてハンドリングにも優れたヤマハ車を思い出させる。 いずれにせよ、XSR900GPのレトロなスタイルが持つ魅力は大きく、一部のライダーが近いうちに購入資金を手に握りしめてヤマハのショールームに向かうことは容易に予測できる。見た目だけでも購入の意思決定をさせてしまうほどの完成度なのだ。 ただしこのバイクが、ロジャー・ムーアがジェームズ・ボンドを演じていた頃を思い出させるだけにとどまらないことも強調しておきたい。ヤマハはベースモデルである「スポーツヘリテージ」のXSR900が持つ優れた点をXSR900GPに引き継がせ、さらにスポーツネイキッドのMT-09の最新技術もブレンドして、独自性を生み出そうと試みている。それは果たしてうまくいっているのだろうか? XSR900GPは表層的なバイクなのか、それとも乗り手を納得させるようなかたちで過去と現在を融合させたバイクなのだろうか? ちなみに、私が所有している古いFZ600のトラクションコントロールはライダーの右手首に搭載されている――つまり電子制御などなく、乗り手の感覚のみで制御されているというわけだ。90年代当時、もしFZ600に電子制御のトラクションコントロールやコーナリングABSなどが搭載されていたとしたら、私は度肝を抜かれていたことだろう。 ……何が言いたいかというと、私はFZ600のようなレトロな外観に最新の電子制御を盛り込んだXSR900GPが、どんな仕上がりになっているかを確かめることに、大いに期待と熱意を持って望んだということである。試乗会に招かれた私たちメディア勢はポルトガルへ向かい、公道試乗の後、かつてWGPでも使われたイベリア半島西岸のエストリルサーキットでもXSR900GPをテストした。