東京電力福島第1原発 デブリ取り出し着手 廃炉工程、最難関「第3期」へ
双葉町からいわき市に避難している無職の60代女性は「安全性は本当に担保されるか不安だ」と表情を曇らせた。古里をはじめ双葉郡は復興に向けた動きが活発となり、人も戻りつつある。前回の中断を念頭に「同じようなことを繰り返したら信用を失う」と口調を強めた。 南相馬市小高区の宮司西山典友さん(71)はデブリ取り出し着手を伝えるニュースを厳しい表情で見つめた。「なぜ、最初からミスなくできなかったのか…」 デブリの取り出しは県民の暮らしや仕事に影響する。小学生の子ども2人を育てる石川町の会社経営和知勇希さん(38)は一日も早い廃炉完了が、子どもの明るい未来につながると信じている。「着実に進めて」と願った。 会津若松市の飯盛山近くにある土産物販売・飲食店「会津幸泉小法師」はコロナ禍が明けた昨年以降、円安の影響も相まって、インバウンド(訪日客)需要が伸びている。今春の桜の開花時期には前年の4倍近い団体客を受け入れた。営業部長の古川英司さん(68)は「廃炉作業が順調であれば、訪日客の来県の安心材料になる。大きなトラブルなく続けてほしい」と求めた。
本格的なデブリ取り出しを始めるには技術的な課題が山積する。福島市の自営業二瓶勝雄さん(76)は「トラブルを発生させないよう、焦らず壁を乗り越えてほしい。廃炉の完了に向け国内外の英知を結集し、技術発展を続けてもらいたい」と語った。