白井元調教師と学ぶ血統学【158】サンデーサイレンスが日本の競馬界に与えたもの
その影響は世界にも…
松浪 この数十年で言えば、欧州を席巻したガリレオとか、素晴らしい種牡馬はたくさんいたと思うのですけど、サンデーサイレンスはそれらと比べてもナンバーワンだと僕は思っています。 白井 僕も思う。以前は外国から馬を買ってくるのがメインやったけど、いまは外国の人がディープの血統だとかを買いに来てるやんか。外国産馬と言えば、日本の馬より走るのが当たり前で、誰もが米国のセリに行ったり、僕みたいに庭先で買ったりしたけど、そんなことをせんでもよくなった。 松浪 日本の血統で世界に通用する。それを示していますからね。 白井 その流れをつくったのがサンデー。日本だけでなく、世界に影響を及ぼした。しかも、この日本からな。僕は自分自身でサンデーを見てさ。この馬やと思って。もちろん、ガリレオとかサドラーズウェルズ、あの系統の馬もいろいろと見てきたよ。でも、サンデーを見たあとではどこか重たい感じがする。オーストラリアでも走っている種牡馬を何頭も見たけど、サンデーのような馬はおらんかった。しかも、サンデーは芝だけでなくてダートもこなせる。オールラウンド。そこも底上げしたからな。 松浪 米国ではエーピーインディが大活躍しました。でも、サンデーサイレンスなら、あの牙城さえも崩せたと思いますか? 白井 その可能性はある。日本のレベルを何段階も上げて、世界に通じるところまで持って行ったんやから。 松浪 仮にサンデーサイレンスが導入されなかったとしたら、現在の日本競馬はどうなっていたでしょうか? 白井 まだまだ全然。及びじゃない。そういう点で(吉田)善哉さん、照哉さんの功績は大きいと思う。欧州へのあこがれはあったと思うけども、そこで頭を切り替えて。で、米国に目を向けた。前に行ったと思うけど、マラソンでもスピードがなかったらあかん。持続だけでは。スピードだけで押し切れるくらいでないとあかんねん。