ヒット作を量産「縦スクロールマンガ」の“舞台裏” ブームから1年、月1億円以上売り上げる作品も
フーモアは、2011年の創業時から多くのクリエイターとともに、イラスト制作を膨大に受注してきました。そのかたわら、横漫画やウェブトゥーンの研究を長く続け、現在は高品質なウェブトゥーンを受託制作するという強みを活かしたスタイルで、強い原作をウェブトゥーン化することでリードしています。 Mintoは、2社が合併してできた企業ですが、前身の1つであるwwwaapはSNS上でマンガを多くの人に届けることに長けた企業で、編集部にもその前からマンガ編集部にいた人間が多く、作品づくりにそのノウハウが色濃く出ています。
CLLENNは、DMMグループ内で3社の出版社・スタジオが合併してできた企業ですが、3社それぞれに出版社経験者や長く作品をつくっていたメンバーがおり、地道に頭角を現しています。 ブックリスタスタジオは、元々編集者として十分に経験を積んだ事業責任者のもと、手堅く結果を残す作品をつくり、手堅く売っています。 ■日本マンガの下地を活かしたウェブトゥーン まだまだこれから伸びそうな期待の企業や、日本に根付いている韓国系企業など、地力のあるスタジオはあるのですが、書ききれないほどです。
こうしてみると、国産ウェブトゥーンスタジオはたくさんあるなかで、特に頭角を現しつつあるスタジオは、何かしら良い作品をつくる下地があり、その下地のなかにウェブトゥーンはもちろん、日本のマンガに対するある程度の理解を携えたうえで、ウェブトゥーンに取り組んでいる共通点があると思います。 そして、日本に根付くマンガ産業の、ノウハウや歴史、潤沢で質の高いクリエイターがたくさんいる環境を、活かしているようです。
そうした意味では、本丸ともいえるジャンプTOONも始動し、日本のマンガの下地を活かしたウェブトゥーンづくりが芽吹いてきつつあると、私には見えています。
菊池 健 :一般社団法人MANGA総合研究所所長/マスケット合同会社代表