佳子内親王はどこへ行く? 「アイドル化」と「バッシング」の間を揺れ動く報道から見えてくるもの
「可憐なるプリンセス」
たとえばこの時期、『麗しの佳子さま 成年皇族のご足跡』(宝島社)、『可憐なるプリンセス佳子さま』(主婦と生活社)といった、佳子内親王の足跡を写真などで振り返るムック本が刊行され、大きな反響を呼んだ。それらが売れていることが新聞や週刊誌に取りあげられ、そのことがさらに佳子内親王の存在を人々に知らしめた。またいずれの本も、表紙に佳子内親王の写真を大きく掲載し、その容姿を前面に押し出して、人々の購買欲をそそる形となっていた。 『可憐なるプリンセス佳子さま』のキャッチコピーは「可憐な容姿と気品、親しみやすさでアイドル的人気を集めている秋篠宮家の次女・佳子さま」であった。ここには、「プリンセス」としての「権威」を感じつつも、自分たちと同じ「人間」であることを「親しみやすい」と表現し、それをメディアが「消費」している状況がわかる。『麗しの佳子さま』も同じ構図であった。 佳子内親王は、上に示した皇族としての「権威」ある存在でもあり、また私たちと同じ「人間」でもあり、アイドルのように「消費」される存在でもあるような、その3つのカテゴリーのバランスの上に立っており、そのことをメディアは巧みに使い分けていた。
秋篠宮家をめぐる大きな変化
ところが、その局面に変化が訪れる。姉の眞子内親王と小室圭さんとの結婚をめぐる問題である。小室さんの家族の金銭問題が報じられ、それがそれまで平成の皇室のあり方とは真逆だととらえられた。「権威」が傷ついたのである。これを契機に、秋篠宮家に対する批判的な意見が週刊誌やネット上で増え、「バッシング」とも言えるような批判も見られるようになる。この結婚問題では、皇室が「消費」されていた。 最終的に眞子内親王と小室圭さんが結婚することになったとき、佳子内親王は姉の結婚を喜びつつ、「結婚に関して、誤った情報が事実であるかのように取り上げられたこと、多くの誹謗中傷があったことを、私もとても悲しく感じていました」とのコメントを出し、それまでの姉への批判的な意見に反論を試み、自身の「人間」としての感情を吐露した。しかし、これに対する反発が出たことも事実である。「皇室のネットアイドル」『麗しの佳子さま』としての像とは異なる側面が示されたからであった。