伝統的衣装で数千人が参加 中国各地で開催「ダイナミックな集団結婚式」の中身
ダイナミックな集団結婚式
伝統的な赤い衣装に身を包み手を繋(つな)ぐ数千人の男女、ジェットコースターに乗り愛の言葉を絶叫するカップルたち――。 【画像】すごい…!ジェットコースターから愛の言葉を絶叫?中国のダイナミック「集団結婚式」 中国各地でダイナミックな集団結婚式が開催されている。ウエディング関係の民間企業が催(もよお)す式ばかりではない。中国政府主催のイベントも多くあるのだ。 「9月には政府が主導し5105組、1万210人が参加した集団結婚式が行われました。メイン会場は首都・北京で、全国50ヵ所がオンラインで繋がるという過去最大級の結婚式です。結婚証明書を取得していればどんな夫婦でも参加でき、料金は無料。指輪や撮影したアルバムなど豪華プレゼントが贈られるという、超ド派手な中身でした。いま国家主席の習近平氏自(みずか)ら先頭に立ち、『若者の恋愛や結婚、出産への指導を強化する』と指示しているんですよ」(中国在住ライター) 背景には、深刻な出生率の低下と若者の結婚離れがある。中国が進めていた「一人っ子政策」の影響からか、昨年の出生数は902万人と過去最少を記録。16歳から24歳の失業率は20%ほどになり、将来に不安を抱える若者の婚姻件数は、’13年の1346万組をピークに昨年は768万組と半減したのだ。中国人ジャーナリストの周来友氏が解説する。 「急激な出生数減少に焦った政府が、少子化対策として集団結婚式を推奨しているんです。豪華なプレゼントを用意しカップルを遊園地に招くなど、あの手この手で若者の興味を惹(ひ)こうとしています。国立大学は『恋人の作り方』という講座を開設。以前は各企業や自治体にいた、男女を引き合わせる『世話役』も復活しました。公開お見合いを仕切る『王婆さん』と呼ばれる女性は、SNSのフォロワー数が700万人を超えています」 ◆若者がかかえる「不安」 はたして政府が主催する集団結婚式は、少子化への起死回生の一手になるのだろうか。周氏は懐疑的だ。 「ネックになるのが、中国の風習となっている男性から女性へ贈る車や貴金属などの高額な結納品(ゆいのうひん)です。総額は数百万円にのぼりますが、高い失業率に悩む若者がどうやってカネを工面するのでしょうか。結婚しても生活苦が増すばかりで、メリットがほとんどない。そもそも若者は政府の施策に冷ややかです。中国では、教育や言論など多くのことが政府の規制を受けます。結婚や出産という究極のプライベートな決定事にまで、口を出さないでくれというのが本音でしょう」 出生率を上げるには、豪華な集団結婚式を開催するより若者の不安を取り除くことを優先させるべきでは……。 『FRIDAY』2024年11月1・8日合併号より
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