元野村証券社員、顧客への強盗殺人未遂罪で起訴 窃盗容疑でも送検へ
広島市西区で80代の住民が薬物を飲まされ、住宅に火をつけられて現金を奪われた事件で、広島地検は20日、当時野村証券社員だった梶原優星容疑者(29)=神奈川県葉山町=を強盗殺人未遂と現住建造物等放火の罪で起訴し、発表した。認否は明らかにしていない。 起訴状によると、梶原容疑者は7月28日午後5時半~8時前ごろ、広島市西区の住宅で、80代の住人女性に睡眠作用のある薬を服用させて昏睡(こんすい)状態にしたうえ、寝室にあった約1787万円を奪い、住宅に放火して殺害しようとしたとされる。 梶原容疑者の弁護人は取材に対し、「梶原容疑者は、以前にも顧客だった女性宅から現金を盗んでおり、放火は証拠隠滅のためで殺人の意図はない」と主張。さらに「酒が入った瓶に薬を入れて訪問したとも説明している」とした。県警は、事件前に女性宅から約800万円を盗んだとする窃盗容疑でも追送検する方針。 当時、自宅には女性と夫がいたが、火災に気付いて逃げて無事だった。 捜査関係者によると、女性の体内からは、梶原容疑者が処方を受けていた睡眠薬の成分と同じものが検出されたという。夫婦は、奪われた現金は野村証券の投資商品のために用意したと説明しているが、梶原容疑者は現金の大半を個人的な投資につぎ込んでいたという。 野村証券によると、梶原容疑者は事件5日後、会社に「顧客の資金を盗んだ」と申告し、懲戒解雇された。同社は20日、「信頼を取り戻すため、実効性のある制度構築を進めております」とのコメントを出した。社員が顧客宅を訪問する際は事前承認を必要とするルールを導入したという。(遠藤花)
朝日新聞社