「百条委」と「参考人招致」どう違う? 坂東太郎のよく分かる時事用語
参考人招致で移転経緯を解明できるか?
豊洲市場の予定地はかつて東京ガスが保有しており、土壌汚染問題があると東京ガスは都に伝えていたようです。しかし2001年7月都は東京ガスと協力して新しい市場を豊洲とする計画に合意しました。汚染対策として都が委嘱していたた専門家会議が、土壌を入れ替える「盛り土」でいくとの基本方針を決めました。その後も「盛り土」案に変わりないと都は説明していたにも関わらず実際には地下空間が作られているとわかりました。石原知事は08年5月の記者会見で「箱ですね、コンクリートの」など研究者のアイデアを紹介する形式ながら「盛り土」と異なる方法を口にしています。 14年2月は豊洲の主要建物の入札で予定価格の99%を超える額で落札され「談合ではないかという」疑問も持たれています。 これらすべての疑問に対して、当時の都の責任者であった石原氏に話を聞いてみようというのが参考人招致の意図です。しかし前述のように発言に誤りがあったり黙したりしても構わないので、何も分からないでうやむやになるという観測があります。 都議会では、これまでも東京改革議員団や共産党などが百条委員会の設置を求めてきましたが、公明党も同様の方針を固めたため、設置される見通しとなったと報じられています。20日には都議会の議会運営委員会で調査項目などが協議されます。百条委員会が開催されて、豊洲移転の経緯をめぐる疑問は解消されるでしょうか。
----------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】