定年後、我が身を襲った「おそろしすぎる病」…老後に岐路に立たされた人がするべき「意外な決断」
しょせん、人間だから
私が室内の温度と湿度を記録しはじめたのは、二〇二三年一月七日からです。日記帳を見ると、二三年一月初旬の部屋の温度は一八度、湿度は三〇%前後です。同年の六月二〇日は温度が二七度で湿度は七二%、七月二六日は温度が二八度で湿度は五八%。季節によって、部屋の中の温度や湿度はこれほど大きく変わるわけです。 冬の空気はカラカラの状態なので、加湿器で部屋の湿度を上げるようにしていますが、あまり効き目はありません。いくら自分でいい環境をつくろうと頑張っても、温度や湿度を完全に制御することは私たちにはできません。むしろ、その日の温度や湿度に合わせて、自分の行動を制御するほうが現実的です。 たとえば、二〇二三年の夏は記録的な猛暑でした。朝から室温が三〇度以上もあるような日に、家の外へ出て動き回ったら、若い人でも体調がおかしくなってしまいます。まして、高齢者にとっては自殺的行為です。 そんな日は、「しょうがないからエアコンや扇風機をかけて、部屋で本でも読むか」と、ゆったり構えていればいいんです。 「皆は暑くて動けないだろうが、俺は活動するぞ」などという気持ちを、私はいっさいもちません。そんな気持ちになったところで、しょせん人間のできることは、たかが知れている。自然環境にあらがうことで頭が冴えて鋭くなるという話は聞いたこともありません。皆さんも無理をせず、猛暑や厳寒の日も自然体でいきましょう。 今まで一生懸命働いてきたんです。そういうときこそ「年寄りの特権」を行使しようじゃありませんか。 さらに連載記事〈ほとんどの人が老後を「大失敗」するのにはハッキリした原因があった…実は誤解されている「お金よりも大事なもの」〉では、老後の生活を成功させるための秘訣を紹介しています。
丹羽宇一郎