定年後、我が身を襲った「おそろしすぎる病」…老後に岐路に立たされた人がするべき「意外な決断」
---------- 元伊藤忠商事会長、そして民間人初の中国大使を務めた丹羽宇一郎さん。仕事に生涯を捧げてきた名経営者も85歳を迎え、人生の佳境に差し掛かった。『老いた今だから』では、歳を重ねた今だからこそ見えてきた日々の楽しみ方が書かれている。 ※本記事は丹羽宇一郎『老いた今だから』から抜粋・編集したものです。 ---------- 【画像】ほとんどの人が老後を大失敗する「根本的な理由」
「現状維持」でいい
八〇歳になって「リウマチ性多発筋痛症」という病気にかかってから、闘病の日々が始まりました。今の私は、まだまだ回復途中ですが、妻の支えもあって日常生活を送っています。日々の生活のなかで私が最も大事にしているのは、「現状維持」。健康状態を今より悪くしないことです。人間の健康状態を階段にたとえるなら、私たちは加齢とともに長い階段をステップダウンしていくことになります。 階段を逆戻りしようとする人もいますが、歳をとってからのステップアップには限界があるでしょう。むしろ、身体をさらに悪くして階段を転げ落ちてしまうようなことにもなりかねません。それよりも、今のステップにできるだけ長く踏みとどまるように努力するほうがいい。 そうすれば「年寄りの冷や水」的なことをしなくてすむので、周囲に迷惑をかけることもないし、自分自身もラクなはずです。また、「現状維持」によって、その先の階段の傾斜をできるだけ緩やかにすることも可能かもしれません。 私の日記帳を二〇二三年一月から見てみると、起床するのは通常、午前五時から六時のあいだです。起床時刻は季節によって変わります。 起きて最初にやるのは、体温測定と、自分の部屋の中の温度と湿度がどれぐらいあるかを見て、日記帳に記録することです。温度計と湿度計をただ漫然と見るのではなく、その値を日々記録していくと、室内の環境がどのくらいだと自分は活動しやすいのか、しだいにわかるようになります。 さらには、「朝からこんなに温度が高くては、今日は外で活動できないな」「こんなに空気がカラカラでは、目が乾いて読書がしづらいな」などと、自分がその日どれくらい活動できるか、ある程度予測できるようになります。 特に湿度は、高齢になるほど口や鼻の中の状態、目の乾き具合などに大きく影響してくるので、お年を召した方はしっかり記録しておくといいと思います。