【インタビュー】日常の些細な発見が愛おしく思える『鈴木康広展 ただいま、発見しています。』が開催中。
証明写真を撮った時に、緊張してまばたきをしてしまい目が半分閉じた写真が撮れてしまったことはないだろうか。《まばたき証明写真》では、確実にまばたきをする瞬間の写真をおさえることができる。コインを入れて、カメラの前に座り、撮影ボタンを押す。しかし、カウントダウンなどのアナウンスは流れてこない。いつの間にか「撮影完了しました」という合図が流れ、撮影されているのである。この証明写真機は、まばたきをするタイミングでシャッターが下りる仕組みになっているのだ。 「展覧会にはアンケートボックスがよくありますが、今回の展示では作品の感想でももちろんいいのですが、作品を見て小さい頃の何かを思い出したとか、作品から何か違う発想を得たといったことを《発見の足跡》と命名し、足跡型の紙に書き残していっていただきたいと思います。僕もよくスケッチをノートに描いていますが、描き残さなければ気づくことができなかった発見が日々無数のようにあります。そういう些細な変化に気づけること自体がアートワークだなと思っています」 会場には、今回のメインビジュアルにもなった《足元の展望台》が何箇所か、小さな踏み台も数箇所に設置され、観客は物理的に目線の高さを変えながら展示空間を楽しむことができるよう工夫されている。《足元の展望台》は様々なサイズの白い足型だ。その上に人が乗ると足が拡張されたような、不思議な気分になる。高さは、階段の高さ、椅子の高さ、机の高さの3種類だ。ほんの少し背が高くなるだけで、見えるものがガラリと変わる。きっと子どもたちに喜んで体験してもらえる作品だろう。しかし、毎日スマホばかりを見て、周囲の景色などゆっくり見ることがない大人にこそ、このように遊びながら物理的に目線を変えて日常を見渡してみることが必要なのではないか。どの作品も、昔子どもだった大人たちに遊びながら体験して欲しい。きっと、すっかり忘れていた何か小さな「!」に気づくはずだ。
『鈴木康広展 ただ今、発見しています。』
〈二子玉川ライズ スタジオ & ホール〉東京都世田谷区玉川1-14-1。 TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)。~2024年9月1日。月~金、日10時~19時、土10時~20時(最終入場は各閉場30分前まで)、会期中無休、入場料当日一般1,000円、大学・高校・中学生700円、小学生500円(オンラインによる入場日時予約制)。
photo_Masanori Kaneshita text_Keiko Kamijo