鈴木蘭々さん「プロデュース」ではなく「起業」を選択。「過去の自分に助けられています」。パラレルキャリアを築く【インタビュー】
周囲からもらった宝物、「過去の自分に助けられています」
―― 起業する上で苦労された点、逆に得た点ってありますか。 うちみたいな小さな会社でも、起業っていうのはやっぱり責任が伴うし、最終的に全責任を自分が負わなければならないプレッシャーは常にあります。コロナもあったりして方向転換をせざるを得ない事態もたくさんありましたし、今も苦労は尽きない!(笑)。 得た点と言えば……その分、苦労への耐性がついてだいぶ忍耐強くなった点かもしれません。周囲に感謝する気持ちも、若いころに比べてだいぶ育ちました。 ――今後のキャリア展開、芸能人としても、社長としても描いてるものは? 来年50歳になるんですけどとりあえずは「維持」ですかね。「今まで自分が積み上げてきたものをいかに維持するか」。維持しながら少しづつ新しいことにもチャレンジしていこうと考えています。 2018年ひょんな出会いから歌うことを再開して、今の年齢で感じることを詩にした音楽を作ったり、ライブをやったり、昨年はベストアルバムを発売するまでに至りました。 これらは独立してからすべて自身の会社で進めていることなんですが、でもそれができるのもすべて過去のお陰なんですよね。 考えてみれば、かつてCMの女王になれたり、一応世間に名前が知れ渡るくらいにまでなれたのは、もちろん私も頑張りましたけど、私の力以上にまわりの人たちが尽力してくれたからにほかなりません。みんなが一生懸命作ってくれたその宝物というか財産に、自分自身が気がついていない時期もありました。音楽制作の過程はもちろん、最近メディアに呼んでいただく機会も増え、その都度その有り難みが身に沁みます。私は過去の自分に随分助けられています。 と思うと同時に、実は今の自分の「テレビでのキャラ」をどうしたらいいのか若干悩んでもいます……。まぁ、自分以上でも以下でもないので悩んでもしょうがないことではあるんですが……。 あと一応社長って肩書きはついてますけど、ぜんぜん大したことありません。最近本当に社長としての自分の器の小ささを反省する毎日です。でもそこは、それぐらいがちょうどいいです(笑)。 ■profile 鈴木蘭々 1975年8月4日生まれ、東京都出身。「泣かないぞェ」「キミとボク」などヒット曲多数。2018年から歌手活動を再開。芸能生活35年を迎えた23年、初のベストアルバムを発売。基礎化粧品ブランド「NARIA COSMETICS」を立ち上げ、化粧品の開発
オトナサローネ編集部 木村美穂