中島みゆきさんも認める才能・中村 中さんが歌う「タブーと愛」
トランスジェンダー(性同一性障害)であることを公表し、活動しているシンガーソングライターの中村 中(なかむら あたる)さん。2006年にデビューし、今年10周年を迎えます。音楽はもちろん、舞台の世界にも進出し、その才能は、女性シンガーソングライターのレジェンド的存在である中島みゆきさんも認めるほどです。『タブーさえも越えられる』と歌う新作アルバムについて、中村さんは「私にとっては普通の恋の歌」だと話します。 【写真】一時代を築いても努力し続ける「ORIGINAL LOVE」田島貴男が語る音楽観
中島みゆきさんの夜会で共演
2014年には中島さんが行っている「夜会」ライブに招待を受け共演し、昨年は「中島みゆきRESPECT LIVE」に出演。中村さんが「この曲は私のことを歌っているのでは?」と錯覚するくらい気持ちを込めて歌えるという、中島さんの曲のカバーを披露しました。「もともとフォークや歌謡曲がルーツなので、みゆきさんと共演させていただいたことで、より特別な存在になりましたね」と中村さん。 その中村さん、デビューの時からトランスジェンダーをオープンにし活動してきました。2007年の紅白歌合戦では、戸籍上は男性ではあるものの、「紅組」として出場しています。 中村さんは、自分の歌には「世の中、いいことばかりじゃない。何があるかわからないけど、前向きに生きていこう」という気持ちを込めているといいます。そして、自身のセクシュアリティから、周囲の人間がタブー視していることについても歌ってきました。 「私はシャイなので、こうやって自分の話をすることはとても緊張するので、歌に乗せた方がうまく伝えられるのかなと思います」
恋愛には不安なことがたくさんあった
ストリートで歌い始めたのが10代半ばでしたが、それ以来ずっと同じテーマで歌ってきたという中村さんが昨年11月にリリースしたのが、「去年も、今年も、来年も、」という恋愛に特化したアルバムです。 「世の中、いいことばかりじゃないというのは、今の平和が続くのかどうかという不安になるようなことも起こっていますし、誰もが感じていることだとは思うのですが、私は『男の子の体に生まれたのに、女の子になりたい』というセクシュアリティーもあって、恋愛に関しては不安なことがたくさんありました。例えば、好きになった人がいても家族に紹介してもらえなかったり、隠れて会わないといけなかったり、恋愛を応援してくれていた女の子がいつのまにか恋敵になっていたり。それでも、人生前向きに生きていかないと、という気持ちを込めました」(中村さん)