<下野紘×佐藤拓也>「デリコズ・ナーサリー」対談 「全く先が見えない」魅力 緊張と困惑の収録秘話
--ディーノは、7歳の息子のオドールにもかなり厳しく接し、オドールはそれゆえにやさぐれてしまっているような……。
佐藤さん 自分の仕事をちゃんとやらなくていけないと思うあまり、息子と向き合えていないし、愛情も足りていない。でも自分では向き合えているつもりといういびつな感じがディーノたらしめているのかなと感じています。そんな彼の玉に瑕(きず)みたいなものを「しょうがないな」と、愛(め)でながら演じています。
下野さん ディーノの息子は、もう完全にグレてますよね(笑い)。このナーサリーにおいて、一番良くないケース。このまま父親との関係値が変わらないんだったら、人格崩壊しますよ。
佐藤さん それなのに、ディーノは「うちの子は静かで手がかからない」と思っているんですから。
下野さん かわいそうだよ。お父さん、そこわかってあげてよ。
佐藤さん いやいや、分かっているつもりなんですよ(笑い)。
◇とにかく子供たちが「かしましい」 勢いに圧倒される父親チーム
--「デリコズ・ナーサリー」では、「子育ては乳母がやるもの」「自分の仕事ではない」と考えていた父親たちが子育てに挑むことになります。子供たちとのやり取りを演じる上で意識したことは?
佐藤さん 収録は父親チームと子供チームに分かれて行われることが多かったので、一番難しかったのは、子供の演者さんと一緒に収録できなかったことですね。台本上の子供たちしか知らない状況だったので。
下野さん 僕は、自分の娘たち以外の子たちとも収録できたんです。すごかったですよ。元気な子供たちがずーっとしゃべっていましたから。
佐藤さん それを見られずに収録しているものですから、寂しいな、残念だなと演者としては思いつつも、どこか「うちの息子はこうだろう」「こうであるはず」と自分勝手なイメージを持ったまま、実情を知らないままディーノを演じられたのは、逆に良かったのかなとも感じているんです。