夫が死去。舅姑や小姑と縁を切る「姻族関係終了届」を提出したいが…相続や遺族年金への影響は?【税理士が解説】
姻族関係を終了させるメリット・デメリット
姻族関係終了届を提出すると姻族とは縁が切れるため、この手続きは「死後離婚」と呼ばれることもあります。 相談者の方ように、姻族との折り合いが悪かった場合は、メリットしかないと思うかもしれませんが、実はデメリットもあります。ここでは、姻族関係を終了させるメリット・デメリットについて解説します。 【メリット】 まず姻族の扶養・互助義務、つまり姻族と助け合う義務がなくなります。配偶者が他界したあとも義実家の人とお付き合いを続けるのは煩わしい、と思われる方は多いかと思いますので、この関係を断つことができることがメリットといえるでしょう。 また、姻族のお墓を管理する必要がなくなるということもメリットのひとつです。相談者のように、日頃から人間関係がよくなかった場合などには、かなり大きなメリットになると考えられます。 【デメリット】 なにかあっても、結婚していた相手の家に頼れなくなるということがあげられます。一度切ってしまうと、姻族関係は二度と復活させることはできません。 また、相手の家の人と顔を合わせるのが気まずくなるといったこともデメリットといえるでしょう。姻族関係終了届を提出したとしても、子どもがいた場合は、子どもからみた「祖父母」「おじ・おば」との関係は保たれます。子どもと義両親が顔を合わせる機会が多い場合などは、このデメリットを感じやすい可能性があります。 縁を切りたいと思いいたるには、それだけの感情があると思われますが、まずは冷静になり、これらのデメリットがあることを十分に理解したうえで判断をする必要があります。
姻族関係終了届を提出後も、相続や遺族年金は影響なし
姻族との関係を断つために、姻族関係を終了してしまうと、亡くなった配偶者の遺産を受け取ることができないのではないかと不安に思われる方もいるかもしれません。 しかし、姻族関係終了届を提出したとても、亡くなった配偶者の相続財産を取得することができるほか、遺族年金も受け取ることができます。 ご自身の状況やメリット・デメリットをよく考えた上での決断をおすすめします。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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