販売台数は過去最高…活況「中古スマホ市場」の現在地と今後の行方
循環経済、部品に波及 修理しやすさ、差別化要素に
中古スマホの再利用には修理が伴う場合がある。携帯端末登録修理協議会(MRR、東京都豊島区)の伊藤幹典事務局長は「修理依頼の8―9割がバッテリー(電池)と表示装置(画面)」だと話す。正規サービスプロバイダーのほか登録修理業者、非登録修理業者が存在する。登録修理業者や非登録修理業者は純正部品と同等の部品を、主に中国から調達するという。 使用済みの部品などを再利用する「リマニュファクチャリング」にもつながり、循環経済の実現を後押しする。実際、中古スマホから状態のよい部品を取り出して同機種のスマホに再利用する動きは国内メーカーの端末で多くあるようだ。ただ「他社製の部品をそのまま利用するのは、設計の観点で難しい」(伊藤事務局長)。 加えて電波法による規制で修理できる内容は限られる。例えば、登録修理業者は基板の修理は許されておらず、基板に実装された部品を交換することはできない。ただ「非登録修理業者では基板修理を請け負う人も中にはいる」(伊藤事務局長)と抜け道はある。 また、ある電子部品業界の関係者は「リマニュファクチャリングについては、まだ大きな動きにはなっていない」としつつも、ICT機器向けで「リペアビリティー(修理のしやすさ)への対応が(電子部品メーカーにとっての)差別化の要素になっている例はある」(同)と話す。 将来、通信面での規制緩和により中古スマホ市場は拡大する見通し。具体的にはネットワーク利用制限があげられる。代金が未払いだったり紛失したりした場合に通信を制限するもので、中古スマホを扱う事業者にとって、ネットワーク利用制限があるスマホを買い取ることは難しい。 ただ、ネットワーク利用制限をめぐっては「緩和する方向にいくのではないか」(MM総研の横田英明取締役副所長)との見方があるほか、「中古市場の端末買い取りのチャンスが広がるのではないか」(有馬RMJ理事長)との声もある。スマホメーカーなどは、再利用拡大を見据えたビジネスモデルの構築が求められそうだ。