旨い店はタクシー運転手に訊け! 大塚駅前の『中華そば 貴富』の「つけそば」はなぜ美味しいのか?
●「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこで、東京のB級グルメに精通する現役タクシー運転手・荒川治さんに、オススメのお店を教えてもらいました。
ラーメンには味噌、醤油、塩、とんこつ、家系、二郎系などさまざまなカテゴリーがありますが、みなさんはどれが一番お好きですか? ラーメン好きの人なら、カテゴリーごとに好きなお店があるから選べない、と言う人もいると思います。 『中華そば 貴富』のスープの画像を見る 私もそうです。たとえば味噌ラーメンなら江戸川区船堀の『大島』や『あさひ町内会』、煮干し系なら『中華ソバ 伊吹』(共に板橋区)などなど。同じカテゴリーでも味わいは全く異なります。日本のラーメン文化の奥深さは計り知れませんね。
本題ですが、今回はそんなラーメンの派生麺料理である「つけめん(つけそば)」が絶品のお店を紹介したいと思います。これも好きなお店はいくつかあるのですが、最近ハマっているのは東京・文京区大塚にある『中華そば 貴富(きふ)』さんです。 ここは昨年(2023年)5月にオープンした比較的新しいお店。実はちょうどその頃、つけそばの名店、荻窪の『丸長中華そば店』が閉店した、という話をラーメン好き仲間としていた時に、この店のオープンを知ったんです。友人によれば、 “丸長インスパイア”メニューを出しているという噂。 『荻窪 丸長』といえば、1947(昭和22年)年に創業し、日本のラーメン文化を作ったともいえるレジェンド店。現在のラーメンは豚骨や鶏ガラといった動物系と鰹節や鯖節の魚介系を合わせてスープを作るのが当たり前になっていますが、昭和初期は動物系だけでした。この魚介系を組み合わせることを最初に考案したのが『丸長』なんです。
また、ここで修業した料理人たちが、次々独立して名店と呼ばれるお店をどんどん開業していきました。代表的なところでいえば、中野や池袋で有名な『大勝軒』です。ちなみに丸長では「つけそば」は、創始者が賄いで出していた料理。これをヒントに、それぞれの料理人たちが工夫を凝らし、つけ麺ブームが起こったのです。 話が長くなりましたが、そんな『丸長』のインスパイアメニューを出しているという『貴富』に、ぜひ一度は行っておかねば、と友人と訪れたのは去年のこと。以来、醤油藻塩ももちろんつけそばも制覇。そして、やっぱり最終的に「つけそば」がめちゃくちゃ旨いので絶賛リピート中です。その魅力をご紹介したいと思います。