“誤訳”で逮捕され「人生壊れた」女性も…司法通訳人の実態と課題 25年超携わる男性「間違いや訳し忘れある」
外国人が関わる事件や裁判で通訳をする『司法通訳人』は、誤った通訳をしてしまうと冤罪を生むなど人の人生を左右しかねない重要な役割を担っている。しかし、必要不可欠な仕事でありながら、なり手は年々減少していて、現役の司法通訳人は「安定した収入を得られるのは難しい」と実情を話す。 【動画で見る】“誤訳”で逮捕され「人生壊れた」女性も…司法通訳人の実態と課題 25年超携わる男性「間違いや訳し忘れある」 また、通訳の間違いが原因で無実の罪で逮捕されてしまった女性は、「私の頭から消したい」と話し、今も苦しみ続けている。
■2年以上勾留され…無実で逮捕された女性「私の人生壊れた」
三重県松阪市に住むフィリピン国籍のオクイ・ローズメリー・アロチャさん(44)は、一つの誤った通訳をきっかけに“無実の罪で逮捕”されることとなり、人生が変わってしまった。 2021年、三重県警の警察官が突然自宅に訪れ、「知人に覚醒剤を譲り渡した」という身に覚えのない容疑で逮捕された。 オクイ・ローズメリー・アロチャさん: 「びっくりしました。何があった?私何した?何か悪いことした?何もしてない」
逮捕のきっかけとなったのは、オクイさんの知人のスマートフォンに残されたメッセージのやり取りだ。 メッセージには「Brad may damo ka?」と書かれている。これは知人がオクイさんのアカウントにタガログ語で送ったものだ。日本語に訳すと「Brad(ブラッド)、葉っぱある?」となる。 警察はメッセージのやりとりなどから、覚醒剤を渡したのはオクイさんだと判断し、逮捕した。 オクイ・ローズメリー・アロチャさん: 「私、通訳の人に言ったけど『Brad』は男(に対する呼称)なんですよ。私じゃないです」
『Brad(ブラッド)』とは、タガログ語で「兄弟」を意味する『Brader』を省略したもので、通常は“親しい男性に対して呼びかける際に使われる言葉”とされている。 警察の取り調べの際、メッセージのBradは誰のことかと聞かれた知人が、オクイさんの愛称である「アイコ」と回答した。担当した通訳が疑問を持たず「アイコ、葉っぱある?」と誤って訳した為、それがそのまま証拠となってしまったという。 オクイ・ローズメリー・アロチャさん: 「何もしてないのに有罪、それおかしいやろ。何もしてないのに。だから戦わないといかん。それが私の気持ち」