猫最優先で家を建てたら超快適空間に!18坪の狭小地に建つ完全“猫目線”の家
家の建て替えにあたり、住み手が求めた第一条件は、「猫がのびのびと暮らせる住まい」。ヒアリングを重ね、建築家の山中悠嗣(ゆうじ)さんが導き出したのは、猫が過ごす場所を“シーン”としてとらえて空間を構成し、家具を配置する…という方法でした。家全体を“猫目線”で考えられた設えが、住まう人にとっても心地いい。細やかな工夫が詰まった「NEKO-HOUSE (ネコハウス)」をご紹介します。 【写真集】敷地18坪。猫2匹との暮らしを徹底的に追求した“ネコハウス”とは?
“猫目線”を大切にした住まい
光あふれる吹き抜けのダイニングで、2匹の猫が自由に歩き回る――。Yさん宅では日々、こうしたのどかな情景が広がっています。Yさんと長男、猫2匹が仲良く暮らすこの住まいが立つのは、都内の住宅密集地。家の建て替えにあたり、Yさんは「猫と楽しく暮らせる、“猫目線”を大切にした住まい」を希望しました。
習性も加味した空間の設え
設計を手掛けたGENETO architectsの建築家・山中悠嗣さんは、打ち合わせで印象に残っていることをこう語ります。 「猫は窓から外をよく眺めているから、いろいろな方向を見られるように窓をつくってほしい、とのことでした。そして、棚の上に上がることが多く、ときには花びんや小物と同じように収納棚にすっぽり収まることもあるなど…。猫の居場所は建物のなかで三次元的に点在していて、その習性も空間の設えに関わってくることが分かりました」
リズミカルな壁面のボックス収納
部屋の構成は、1階が水まわりとピアノ室。2階がLDKで、3階に個室が2部屋。メインスペースのLDKは、「猫が窓辺から違った景色を見られるように」と3カ所にベンチとセットで大きな窓をとり、光が多方向から回り込む心地いい空間になっています。明るい色味のシカモアフローリングと白壁がベースのダイニングでリズムを刻んでいるのが、壁に階段状に設けられたボックス型の収納です。
箱が積み重なったデザインでそろえる
「全体のインテリアは、箱が積み重なったようなデザインで統一しました。猫は狭いところに入るのが好きなので、階段も箱が積みあがったような形にして段板の小口面を見せています。他の収納やキッチンも箱型でそろえているんです」と山中さん。
建物は斜めに振って配置
台形状の敷地は、約18坪。4m道路が南側に接し、北側が水路で両側には隣の家が迫っています。山中さんは、この立地で最大限のボリュームを確保するため、木造3階建てのプランを提案。前の道路が狭く、道路斜線制限でかなりカットされるうえに北側斜線制限もかかるので、駐車スペースをとりながら建物は斜めに振って配置することに。道路と距離をとったことで、3階東側の個室も十分な天井高をとることができました。 飼い猫たちのお気に入りの場所や習性を最優先につくり込まれた “ネコハウス”。今後、猫派の住まいづくりの参考になること間違いなしです。愛猫たちの幸せそうな光景に住み手も大いに癒やされていることでしょう。