貧打の大阪桐蔭 しぶとくつないでビッグイニング センバツ
◇センバツ高校野球第10日（29日）準々決勝 ○大阪桐蔭6―1東海大菅生（東京）● 【大阪桐蔭vs東海大菅生を写真で】 昨春のような派手さはないが、前回王者の大阪桐蔭の強さが見えた攻撃だった。相手の守備の隙（すき）を突き、各打者がしぶとくつなぎ、三回にビッグイニングを作り出した。 三回から登板した東海大菅生の2番手・島袋俐輝に対し、四球の後、2番・山田太成は3ボール1ストライクから三塁手の前に絶妙なセーフティーバントを決めて一、二塁に好機を広げた。山田は「サインは送りバントだったが、三塁手は動きや送球が遅いのは分かっていた。自分は足があるので狙った」。好判断が光った。 続く3番・徳丸快晴の送りバントは三塁線近くで球が止まる幸運な内野安打に。無死満塁の絶好機で4番・南川幸輝が追い込まれながら、落ちる変化球に食らいついた。「2球、同じ球を空振りしていたので、続けてくるなと思っていた」。タイミングを少し遅らせてボールを引きつけ、右前に2点打を運んだ。その後も犠飛と適時打で計4点を先取し、3試合目でようやく大量点を奪った。 大阪桐蔭の選手が口をそろえる。「自分たちは打てないチームなので」。念頭にあるのは、昨春のセンバツを制したチーム。前回大会を1大会チーム最多計11本塁打やチーム1試合最多タイ6本塁打など記録ずくめの破壊力で制した。 今大会は一転、3回戦を2安打1得点で辛くも制するなど、打撃の不振が際立つ。3回戦後に西谷浩一監督から各選手は反省を促されたという。南川は「大事にいこうと受け身になり、少し甘い球でも見逃してしまっていた」と振り返り、「今日はファーストストライクから積極的に振ることを実践できた」と納得顔だった。 快勝で復調のきっかけをつかんだ大阪桐蔭打線。史上初となる2度目の大会連覇へ、ようやくエンジンがかかり始めてきた。【伝田賢史】
