400万のベンチ、伐採…100億超の「玉川上水緑道」再整備計画「渋谷区長の私物化が止まらない?」
ミヤシタパーク、デザイナーズトイレ…派手な施策が目白押しの渋谷区のプロジェクト
1953年に児童公園として誕生した渋谷区の宮下公園は、土地が三井不動産に安く貸し付けられ、’20年7月には「公園」とは呼び難い商業施設「MIYASHITA PARK」に生まれ変わった。 【えっ!?これが…】高っ! 15台設置される1台400万~450万円のベンチがコレ…!? また、日本財団と渋谷区が’20年から進めてきたプロジェクト「THE TOKYO TOILET」では、使用時に個室に貼られたガラスが不透明になる「透明トイレ」の仕組みが正しく機能せず、内部が丸見えになっていたことが発覚・騒動となったこともあった。他にも、このプロジェクトでは、隈研吾ら有名デザイナーたちが手掛けた個性的なトイレの数々に防犯上の懸念が指摘されている。 これらは良くも悪くも、元広告マン(元博報堂)の長谷部健渋谷区長らしい、派手でわかりやすい施策だ。 さらに渋谷区では今、笹塚・大山・幡ヶ谷・西原・初台・代々木の6地区を通る「玉川上水旧水路緑道」(2.6キロ)の再整備事業を進めており、それが地元住民たちの批判の的となっている。 その内容は主に、緑道の多数の樹木を伐採し、農園を作ること、1台400万~450万円のベンチを15台設置することなどで、事業には100億円以上かかると説明されている。いったいどこから出てきた話なのか。 「渋谷区玉川上水緑道利用者の会」の高尾典子さんは、こんな驚きと憤りの声をあげる。 「昨年9月7日に行われた住民対象の説明会の中で、緑道再整備の費用について100億円くらいかかるのではないかと聞かれた長谷部区長は『100億で足りるかな』と言ったんです。 さらに今年2月の予算委員会で、今年度の緑道再整備計画の予算14億5000万円が決まり、3月に区議が100億の内訳を聞いたところ、『内訳はわからない』と言うんですね。 令和11年までの5ヵ年計画で、5ブロックに分けて工事する予定ですが、何にどれだけのお金がかかるのか不明で内訳がわからないのに100億円以上なんておかしいじゃないですか(※現時点では110億円以上という説明に変わっている)」 高尾さんらは、これまで議会に行ったこともない、陳情や請願という言葉さえ知らない人ばかり。しかし、身近な緑道の樹木が伐採される計画や、渋谷区のお金の使い方に疑問や危機感を抱き、会を発足。議会に傍聴に行ったり、区議や専門家に相談したり、情報開示請求をしたりという中でいろいろ不自然なことがわかってきたと話す。 その一つは、1台400万円のベンチだ。まるで超高級ブランドの特注ベンチのような金額だが、渋谷区ホームページ内「玉川上水旧水路緑道再整備の概要」(’24年4月12日更新)内「緑道再整備の主な内容」に掲載されているイメージは、コルクやタイルのような継ぎはぎ模様のピンク色のベンチ。そこにはこんな説明がある。 「ベンチの素材は、舗装材と同じテラゾや木製とします。※テラゾとは、石材、レンガ、コンクリート材などを、粉砕して固めた舗装材です」 Amazonなどでテラゾ素材のベンチを探すと、20万円程度で見つかるが、なぜ400万円にも予算がふくれあがるのか。 「通常、東京都の公園などの一般的なベンチは20万~30万円。常時はベンチとして使い、災害時にはかまどとして炊き出しできる災害用の『かまどベンチ』でも34万円程度です。それなのに、1台400万円ですよ? 区議の方が災害用ベンチにするという案はないのかと聞いても、『とにかくデザイン性のあるものしか置かない』という答えでした。ピンク色の“ブロック”がどこから出たものなのかもわかりません」(高尾さん) 機能性よりデザイン性というのは、「THE TOKYO TOILET」と同じ。しかし、トイレと違い、隈研吾のようなわかりやすいビッグネームは概要資料には出てこない。