400万のベンチ、伐採…100億超の「玉川上水緑道」再整備計画「渋谷区長の私物化が止まらない?」
「『388』と書いてササハタハツと読ませるらしいんですけど……」広告代理店の企画書のようなカタカナだらけの計画名
しかも、この緑道再整備計画について、渋谷区民の多くは把握していないと思われるのが現状だ。なぜなら広告的なテクニックがふんだんに使われているためである。 「この緑道再整備計画は『ササハタハツFARM』みたいに呼ばれているんですね。 笹塚・幡ヶ谷・初台の頭文字をとったもののようですが、緑道エリアの西原も大山も代々木も入っていないから、みんな自分たちに関係ない話だと思っていました。 しかも、『388』と書いてササハタハツと読ませるらしいんですけど、地元の人はそんなことを知らないから、私たちも伐採の問題が起こって色々調べて知るまでは『サンハチハチ』と読んでいました。 388の名を冠していろいろやっていますが、みんな何のことかわからないから地元の人たちが参加できない。地元住民を排除して進めているんです」(高尾さん) この上なく“広告屋臭”が漂うのが、「388FARM」事業関連の「Dear Tree Map」。 「388FOREST いのちのバトンタッチ」では「今回、樹木のお医者さんである『樹木医』による診断の結果、全体の約2割程度の樹木がもうすぐ引退する予定です。今回はそのうち15本が、それぞれの理由から、新しい命へのバトンタッチを行います」と説明。 1本ずつの木についてほのぼのイラストつきで「ソメイヨシノ どっしり構えるコンビ」「ケヤキ いつもキンモクセイと一緒」などというコピーと伐採理由を書き、木へのメッセージを投稿するサイトになっている。 さらに大問題なのは、こうした感傷的イメージにより、重要な事実がごまかされていることだ。 「区の調査では当初189本を不健全などとして、31本を既に伐採してしまいました。 でも、千葉大(環境植栽学)の藤井英二郎名誉教授に現場を視察してもらったところ、ほとんどの木が健康な状態だと言われたんですね」(高尾さん) そうした指摘と批判を受け、長谷部区長は「残せる木は残したい」と方針を転換。今年4月24日の住民説明会では、区が伐採対象だった樹木のうち134本を残す方針を説明している。 しかし、樹木の伐採計画をはじめ、渋谷区の数々の問題を調べてきた渋谷区議会議員・堀切稔仁(ねんじん)さんは、こんな厳しい意見を述べる。 「そもそもなぜそんなに木を伐りたいのか。 緑道再整備について老朽化のためなどと説明していますが、博報堂や区長のお友だちにお金を分配するための目くらましであり、開発がやりたいわけじゃないんですよ。 緑道再整備プロジェクト全体の総費用110億円のうち、今年度の予算としては14億5000万円が計上されていますが、そのうち設計料全体が3億9900万円、デザイナーには1億7000万円。 そうした予算の中に1台400万円のベンチ15台分もあるわけです」(堀切区議・以下同)