国民民主党「野党離れ」が加速 首相とは面会、野党会合は欠席 政策実現を優先
国民民主党の「野党離れ」が加速している。自民、公明両党の衆院過半数割れを受け、国民民主は政策実現のため与党側との協議を優先する一方、同じ民主党を源流とし政府・与党との対決姿勢を取る立憲民主党とは一線を画しつつある。令和7年度税制改正や7年度予算案編成に向けた交渉が本格化する中、国民民主と「野党」との距離はさらに開いていきそうだ。 国民民主の玉木雄一郎代表らは27日、首相官邸で石破茂首相と面会し、6年度内に改定する中長期的なエネルギー政策の指針「エネルギー基本計画」への要望を伝えた。玉木氏は「あらゆる安定的な電源を強化していくことがエネルギー安全保障の観点から極めて重要だ」と述べ、既存の原発の再稼働に加え、建て替えや新増設などを求めた。首相は「安全が大前提だが、安くて安定的な電力供給が必要だ」などと応じた。 ■スタンスに微妙な変化 衆院選後、キャスチングボートを握った国民民主は、各党と等距離外交を進めることで自らの政策を実現する戦略を取っていた。だが、与党側との協議で看板政策の「103万円の壁」引き上げ実現に一定のめどがつくと、そのスタンスが微妙に変化してきた。立民側は21日、野党各党に独自の経済対策を説明したが、国民民主側は「年末の税制改正に全てのエネルギーを注入しなければならない」(榛葉賀津也幹事長)として相手にしなかった。 ■立民手法に「もう違うよね」 「野党離れ」は国会対応でも顕著になっている。 立民と日本維新の会、共産党、衆院会派「有志の会」は27日、政治改革に関する野党協議を国会内で開き、企業・団体献金の禁止と政策活動費の廃止の必要性で一致した。28日召集の臨時国会で法案の共同提出を目指す方針も確認したが、この場に国民民主の姿はなかった。立民幹部は国民民主側に1週間前から出席を打診していたことを明らかにし、「いろいろとご事情があるんでしょう」と言葉少なに語った。 26日には立民が参院野党国対委員長会談を呼び掛けたが、国民民主側は欠席した。立民の斎藤嘉隆参院国対委員長は記者団に「急な話だったので出席がかなわなかった」と説明したが、額面通りには受け止められていない。
国民民主幹部は27日の政治改革に関する野党協議を欠席した理由に関し、「与野党がまとまって話せる場所ができたのだから、そこで話せばいい。昔なら野党でバーンとやればよかったが、もう違うよね」と述べ、立民がこだわる〝オールド野党〟的な手法を皮肉った。(千田恒弥)