本当に「第三者」? 企業不祥事でよく見る「第三者委員会」に潜む問題点
非公開に「億単位」の報酬も
このように見ると、不祥事報道でよく耳にする第三者委員会に法的な拘束力はなく、企業が自ら委員を選び、調査を依頼したに過ぎないこと。そして、委員会自体にも改善の余地が大きいことが分かります。しかし、多くの人にはいまだ、第三者委員会が「公正性」「論理性」「専門性」などを兼ね備えたものであるかのようなイメージを持っているのではないでしょうか。また、第三者委員会の報告書によって不祥事は一定の禊(みそぎ)を終えたかのように感じさせられてはいないでしょうか。 しかし、第三者委員会は決して完璧かつ高潔な存在ではありません。さまざまな課題を抱えている組織であることを理解した上で、報道を受け止める必要があるといえます。 八田氏は著作で「第三者委員会に関わるコストが、一切明らかにされていないことは問題である」とも述べています。第三者委員会に億単位の報酬が支払われるのは常であるとの話も、関係筋から筆者の耳に届いています。委員の人選を当該企業の経営者が行い、同じ経営者の判断で非公開に巨額の報酬が支払われるならば、本当に「第三者」として正当性が保たれるのか。まずはこの点にこそ、真の「第三者委員会」を実現するための最大の改善点が潜んでいるのではないか、との筆者の考えを最後に付け加えておきます。 (大関暁夫)
ITmedia ビジネスオンライン