本当に「第三者」? 企業不祥事でよく見る「第三者委員会」に潜む問題点
何個も「委員会」が立ち上がった例も
さて、第三者委員会が一般的になり始めてから順調に推移したのかというと、運営に公正性を欠くなど問題点は多くありました。その最たるものが、2008年に発覚した、自動車部品製造のフタバ産業が不正会計処理を検証した際の第三者委員会です。 このケースでは、当初立ち上がった委員会の報告書が出た後に、新たな疑惑が次々明らかに。それによって第2、第3の委員会が立ち上がり、当初は言及されなかった経営責任まで論じられて大きな混乱を招きました。最終的には、第1、第2の委員会は検証が甘く、第3の委員会による提言によって全取締役の責任が追及され、元社長が逮捕される(不起訴処分)までに至ったのです。 このようなずさんともいえる第三者委員会の姿勢を強く問題視したのが、コンプライアンスを司る弁護士の業界団体、日本弁護士連合会(日弁連)でした。日弁連は事態を重く見て、第三者委員会の規律を正すべく2010年に「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」をまとめて公表したのでした。 ガイドラインでは、第三者委員会を次のように定義しています。 「企業や組織(以下、「企業等」という)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等(以下、「不祥事」という)が発生した場合及び発生が疑われる場合において、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会である」 具体的活動としては「企業等において、不祥事が発生した場合において、調査を実施し、事実認定をおこない、これを評価して原因を分析する」「調査結果に基づいて、再発防止等の提言をおこなう」「企業等から独立した立場で、企業等のステークホルダーのために、中立・校正で客観的な調査をおこなう」などとあります。 また委員数は原則3人以上とされ「当該事案に関する法令の素養があり、内部統制、コンプライアンス、ガバナンスなどの企業組織論に精通した者でなければならない」としています。