「頑張れ、頑張れ」って言う世の中がしんどい――元引きこもり・「あの」が考える「多様性」と絶望の越え方
テレビでの活動が増えるにつれて、あのは「不思議ちゃん」扱いされてきた。 「ぼく、ほんとに高校生ぐらいのときにも、周りからそんなことばっか言われてた。めっちゃ頑張って溶け込むように猫かぶりしてたんですけど、一瞬で友達がいなくなって、そっからどんどん『不思議ちゃん』にカテゴライズされてました。そう言うほうが不思議ちゃんですね。ぼくはほんとにこんな感じなだけ、あんま自覚がない」
ずっとインターネットは切っても切れない
あのの話は、インターネット上の風評にも及んだ。 「Yahoo!ニュースのコメント、なんか制限付きますよね(※編注:11月15日からコメント投稿に携帯電話番号の設定が必須化)」 「『ありゃ? こりゃ、タレント側が誤解されますよね?』みたいな見出しに引っ張られて、あんま内容を知らずに書いてる人は的外れなんですけど、テレビをちゃんと全部見た人とかは、すごく内容のあることだったり、的を射た意見を書いてるから、それ見るのが面白い。そのぶん、やっぱ辛辣なことも書いてあるっていう感じで。でも、批判じゃない意見はすごく『あ、わかってくれてるな』みたいなこととか、ぼくのことじゃなくても多い気がする」
生まれたときからインターネットがある世代ならではの強さと諦めも、あのには感じられる。 「ぼくもずっとインターネットは切っても切れないというか。意見にクソだなって思うときもあるけど、いい意味でも悪い意味でも、そこで感情がめちゃ動かない。別に周りに何と言われようがやりたいようにやるし、っていう感じだから。『もっとちゃんとしゃべれ』って言われても、『ちゃんと頑張ってしゃべって、これなんだもん』って、いつもコメントを見て思っちゃう」 あのが、唯一スタッフに頼まれて更新しているSNSがある。約76万フォロワーを抱えるTikTokだ。仕事として、割りきってやっているという。 「別に楽しくない。いや、TikTokが嫌いとかではなくて、『自分に向いてないな』と思いながらやってます。別にやりたいことだけしてるわけではない」