【Cycle*2024 ティレーノ~アドリアティコ:レビュー】ヨナス・ヴィンゲゴーが山岳で本領発揮 圧巻の個人総合優勝でタイトルリストに新たな勲章を追加
これこそが現役ツール・ド・フランス王者の強さ。初日に個人タイムトライアルで発生したタイム差にとらわれることなく、大会後半の山岳ステージに集中し、きっちり決める。王道ともいえるステージレースの戦い方をしながらライバルに大差をつける、これ以上ない走りをしてみせた。 【ハイライト】ティレーノ~アドリアティコ 第7ステージ|Cycle*2024 全7ステージで争われた「2つの海をつなぐレース」ティレーノ~アドリアティコは、ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク)が2位以下に1分以上の差をつけて完勝。“海の王”の象徴である、トリアイナのトロフィーを手にした。
「自転車競技の中でも特にインパクトあるトロフィーを得られてとてもうれしいよ。1週間を通して良いレースができて満足だ。この美しい勝利は僕だけではなく仲間にも捧げたい」(ヨナス・ヴィンゲゴー)
終わってみれば、ヴィンゲゴーのティレーノ~アドリアティコ攻略はいたってシンプルだった。
第1ステージの10km個人タイムトライアルでは、競技途中での雨予報を受けて全体3番手で出走。個人総合争いのライバルと目されたフアン・アユソ(UAEチームエミレーツ)が勝利したが、ヴィンゲゴーも22秒差にまとめて無難にスタートを切る。
この22秒が先に控える重要ステージでどう作用するかが見ものだったが、ヴィンゲゴー、そしてヴィスマ・リースアバイクにとっては何の障壁にもならなかった。レースを完全に掌握したのは第5ステージ。ステフェン・クライスヴァイクとディラン・ファンバーレの両ベテランが集団統率を担い、山岳のサン・ジャコモに入るとアッティラ・ヴァルテルとベン・トゥレットが猛然とペースアップ。特にトゥレットの牽きは、集団を総合系ライダーのみに絞った。
すると、頂上まで約5km、フィニッシュまでは29kmもの距離を残した状態で真打ち・ヴィンゲゴーがアタック。もう一枚残していたキアン・アイデブルックスをライバルたちの抑え役に回し、スーパーエースみずから独走態勢に。結果、この日だけで1分以上稼ぎだすことに成功。スタート前のビハインド22秒を完全に消し、1日でレースリーダーの座を確たるものにしたのだった。
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