谷川俊太郎さん、各地で校歌の作詞も…「このフレーズは教育の原点」大分県の高校「歌い継いでいこう」
戦後の時代と伴走するように数々の詩を紡いだ谷川俊太郎さんが13日午後10時5分、老衰のため92歳で死去した。葬儀は近親者で済ませた。人間や宇宙、愛、孤独など世の中のあらゆるものを、70年余りにわたって言葉に刻み続けた詩人の死を惜しむ声が相次いだ。 【表】谷川俊太郎さんの足跡
「自分がなりたい 自分になろう」
谷川さんは全国各地の学校で校歌の作詞を手がけた。
〽なんだろう 何故なのか 問いに自分がかくれてる
問いかけから始まる私立昭和学園高校(大分県日田市)の校歌は、長男で作曲家の賢作さんも曲づくりを担った。谷川さんは同高で自作の詩を朗読するなどして生徒と交流した際、「自分がなりたい 自分になろう」と校歌の一節を色紙にしたためた。草野義輔理事長(77)は「このフレーズは教育の原点」と話し、生徒にも「大切に歌い継いでいこう」と呼びかけていくつもりだ。
鹿児島県肝付町の中高一貫校、県立楠隼中・高の校歌には「宇宙」や「地球」「世界」といった言葉がちりばめられた。同中の上野宏樹教頭は「生徒をグローバルに育てようという気持ちが伝わる内容になった」と感謝している。
「谷川俊太郎 絵本★百貨展」を開催中の山口県周南市美術博物館では、有田順一館長(69)が「繊細で言葉を大事にし、常に物事を考えているような哲学的な振る舞いが印象的だった」とし、「巨星を失い、大きなショックだ」と惜しんだ。