海外での成功はそんなに甘くない。岡崎慎司がプロ目指す若者達に伝える処世術「トップレベルとの距離がわかってない」
求められる明確な“基準”「厳しい言い方かもしれませんが…」
現役引退後に指導者としてのキャリアをスタートさせている元日本代表FW岡崎慎司に海外で成功するための心構えを尋ねてみた。岡崎はドイツ6部リーグに所属するFCバサラマインツで監督として悪戦苦闘しながら、選手時代とは違ったさまざまなサッカーとの関わりに充実した毎日を送っている。バサラマインツでは多くの日本人選手が仕事をしながらサッカーをしているし、マインツやフランクフルトには前述したようなサッカー留学やトライアウトにチャレンジしている若者がかなりの数いるだけに、思うところもあるようだ。 「厳しい言い方かもしれませんが……」と前置きをしながら、プロ選手として世界を渡り歩いてきた岡崎が明確な言葉で語り始めた。 「何かを成し遂げたいなら『がむしゃらに一生懸命やってます』だけじゃダメ。自分で課題を見つけて、明確に取り組んで、貪欲に上を目指してっていう子じゃないと厳しいです。そもそも『がむしゃらにやってます!』っていうけど、まだまだ全然がむしゃらでもないと思う。日々の取り組みや生活、自主練の仕方にもっともっと工夫が必要だし、今よりも全然自分を追い込めるはずだよって思うんです」 岡崎は長くプロの世界にいた。日本でも、ドイツでも、イングランドでも、スペインでも、周りには優れた選手しかいない。どこにでも熾烈な競争があった。そのなかで何度も自問自答を繰り返し、自身の立ち位置を認識して、他の選手を観察して、何が自分の強みとなり、どこの課題を改善することが必要不可欠かと向き合い続けてきた。世界に出て活躍を続ける選手は皆こうした明確な「基準」を持っている。 「一つ一つ試しながら自分でやってきたので。それは教えられてきたものじゃない。プロの世界にいるとそうした基準値を持っているのが普通で、それをどう作ってきたかなんて考えもしなかった。当たり前のことなので。例えばサッカー留学生がどんな目標を持ってきているかっていうところはすごく重要だと思う。そしてまずは何より『やるのは自分』だと考えられているかが大事。環境とか他人のせいにしちゃうと難しいですよ、海外では」