「シャバに出る気はありません」…「ルフィ事件」実行役リーダーが判決翌日、面会で語った言葉 それでも「無期懲役」判決に控訴した理由とは
後頭部にモンキーレンチを
広島市での強盗では、時計買取販売店兼住宅に住んでいた高齢の夫婦と息子が襲われており、息子は永田被告に後頭部をモンキーレンチで殴られたことから大怪我を負い、高次脳機能障害となった。また狛江市の強盗致死事件では住人の90歳女性Aさんに対して「バールを用いた殴打を共犯者に指示し、途中、共犯者から、これ以上やればAが死ぬ旨言われても殴打の続行を指示し、自身でも更に暴行を加えて」(判決より)いる。 判決では永田被告が中野区での強盗案件以降、「実行役の中でリーダー格を務め、必要に応じ、指示役の指示がなくとも自らの判断で他の実行役に指示するなどの役割を担う」ようになったと指摘している。
殴らないと報酬はあげません
実行役は、フィリピンにいた指示役らとテレグラムを介して綿密に連絡を取り合い、また犯行時もテレグラムの通話状態をオンにしたまま、イヤフォンを装着。リアルタイムで指示を受けながら犯行に及んでいた。さらに指示役は決行直前に、テレグラム通話をスピーカーモードにしたうえ、これから突入する実行役ら全員に<殴ったり蹴ったりしないと報酬はあげません>と伝えることが定番の流れだったようだ。 さらに「実行役を募るに当たっては、女性や子どもを殴ることができるか、バールで人を殴ることができるかなどが確認された」(判決より)というから、実行役らは少なくとも暴力を振るうことを事前に了承していることがわかる。とはいえ構造的には、実行役らは“指示役に命じられて仕方なくやった”と主張ができる立場にあり、実際そのように怯えながら犯行に手を染めたものもいる可能性はゼロではない。
全ての責任は私にある
だが永田被告は自身が関与した6つの事件について、全て自らの主体的な犯行の意思があったことを認めていた。 「最終的に決めたのは私です。闇バイトに応募した時点で自分で決めて行動したこと。指示役からの指示の通りに動いたこともありますが、指示を聞いて、自分で判断して、自分でやったこと。全ての責任は私にある」(10月23日公判被告人質問での証言) 判決でも永田被告に対しては「必ずしも事前に想定したとおりに犯行を行えるわけではない強盗現場において、犯行を成功させるために状況に応じて臨機応変に自らの判断で、ときには指示役の指示に従わずに他の実行役を指揮していた面があったというべきであり、本件一連の事件において被告人が果たした役割は相当大きい」として、各事件の実行役のなかでも責任は重かったと認定している。