自民非公認候補「選挙に使うなと指示あったのに」 活動費、党勢拡大向けも野党の攻撃材料に
自民党が衆院選(27日投開票)で非公認とした前議員が代表を務める政党支部に対し、政党交付金から「活動費」名目で2000万円を支出したことが波紋を広げている。野党は「偽装非公認だ」などと厳しく批判するが、自民は党勢拡大の目的で支出したものとして「(非公認候補の)選挙に使うことはまったくない」(石破茂首相)と反論する。実際、非公認の候補は、交付金に一切手を付けなかったり、支出そのものを知らなかったりしたケースが目立っている。ただ、交付金を選挙期間中に非公認候補が関係する政党支部に支出したことは有権者の誤解を招きかねず、党執行部の認識の甘さも指摘されている。 【表でみる】次期衆院選の政党別議席予測(10月23日時点) ■目的は「党勢拡大」 政党助成法上、政党本部から支部に支出された政党交付金について、使い道に制限はない。しかし、支出は政治資金収支報告書で、項目を細かく分けて報告する決まりになっている。今回は、「政治活動費」という分類基準の中で定められている「選挙関係費」と「組織活動費」のどちらに該当するかが問題となる。 総務省の資料によると、選挙関係費は「選挙に関して支出される経費」と位置づけられ、例として「公認推薦料」や「陣中見舞い」など「選挙に関して行われる政治活動に要する経費」と定められている。 一方、組織活動費は選挙関係を除く「政党(支部)の組織活動に要する経費」と定義。例として「大会費」「行事費」「組織対策費」「渉外費」などが挙げられている。 自民は今回、非公認候補が所属する政党支部に対しては、公認料を含まない「活動費」として支出したとする。10月13日に該当する支部向けに森山裕幹事長名で出した「支部政党交付金支給通知書」には、「貴支部における党勢拡大のため活動費として、ご活用くださいますようお願い申し上げます」と記している。 党側は、こう太字で強調した「党勢拡大」に使う具体例について、小選挙区内の比例代表票の掘り起こしや党の政策のPRなどを挙げている。 これに対し、公認された候補の政党支部には「公認料」として500万円、「活動費」として1500万円を支給した旨通知している。この公認料は「選挙関係費」にあたり、例えば臨時に設けた選挙事務所の家賃などに使うこともできるという仕分けだ。