自民非公認候補「選挙に使うなと指示あったのに」 活動費、党勢拡大向けも野党の攻撃材料に
これらを踏まえ、自民は「非公認となった支部長が無所属候補として立候補した場合は、自身の選挙運動のためにこの交付金を使うことはできない」と強調。実際、公認されなかった無所属の前職は産経新聞などの取材に、党支部に振り込まれた2000万円について、「選挙に使うなという指示があったので、一切使っていない。選挙が終了するまで一円たりとも手をつけないということだ」と語った。
■首相「憤り覚える」というが
「このような時期に、そのような報道が出ることは誠にもって憤りを覚える」
石破茂首相は24日の街頭演説で、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が「裏金非公認に2000万円」などと報じたことを念頭にこう批判。「そのような報道、そのような偏った見方に負けるわけにはいかない」とも語った。
赤旗は23日、自民党が非公認とした候補者が代表を務める党支部に対して、公示直後に政党助成金2000万円を振り込んだと報じ、「裏金づくりという組織的犯罪に無反省な自民党の姿が浮き彫りとなっている」と批判した。24日付紙面では「事実上の裏公認であり、有権者をだました形だ」と指摘している。これに便乗する形で、立憲民主党の野田佳彦代表も「事実上の公認だ。(自民は)まったく反省していない」と厳しく指摘した。
今回公認が見送られて無所属で立候補した前議員は、公認候補に比べて1000枚まで貼れる政党用ポスターが掲示できなかったり、政見放送に出演できなかったりハンデを抱える。非公認では党支持団体の支援などに頼ることが難しい事情もある。比例代表への重複立候補も認められない。
ただ、衆院選は「政治とカネ」の問題が争点の一つになっている。選挙活動費と誤解されかねない活動費を選挙期間中に支出し、野党に攻撃材料を与えること自体、危機管理上疑問視される面がある。(奥原慎平)