忙しい時つい見失いがちなビジネスの鉄則とは 起業家として大成功したミュージシャンの教え
計画も即座に変更できるし、現実の顧客がなにを必要としているかもわかる。したがって、そのニーズに合わせて柔軟に計画を変えていけばいいのだ。 シヴァーズの場合、すでに自分のCDを売るためのウェブサイトをつくっていたため、「cdbaby.com」の最初のヴァージョンをつくるのに数日しかかからなかったそうだ。 なにしろ当初の目的がひとつだけとシンプルで、サイトの仕組みも単純だったという。CDベイビーを立ち上げるのにかかったお金はわずか500ドルで、最初の月の売り上げは300ドル。
しかし2カ月目は700ドルを稼ぎ、以後も月を追うごとに売り上げは増えていった。やがて、それが巨大な富へと成長していった。 お金はなくても、アイデアを実現するための一歩は踏み出せる。MBAも、大口顧客も、業界の大物の後ろ盾も、思いがけない幸運も――そして、やらないためのどんな言い訳も――不要だ。 (34ページより) ■堂々と対象を絞り込む シヴァーズの本は、ビジネスの対象を絞り込むことについても、示唆に富む教えを授けてくれる。
「すべての人を喜ばせるのは不可能」――これは、誰もが知っていることだろう。 それなのに、あらゆる人を、あらゆることで満足させようとしている企業は多くあり、なぜ自分たちが世の中から注目されないのかと不思議に思っている。 あなたが対象にすべき顧客層と、そうでない顧客層を、はっきりと分けよう。そして、そのことを堂々と公言しよう。そうすることで、本当に自分たちが相手にしたい人たちの心をつかめるようになる。 (47ページより)
このことに関連し、シヴァーズはCDベイビーの人気が高まり始めたころのエピソードを引き合いに出している。 大手のレコード会社から、売り出し中のホットなアーティストをCDベイビーで大きく取り上げてほしいと連絡があったというのだ。 「断る。ここではそういうことはやらないんだ」と返答すると、レコード会社の担当者は驚き、「『そういうことはやらない』とはどういうことだ? そっちはレコード店で、こっちはレコード会社だぞ!」と憤った。その怒りに対するシヴァーズの答えはこうだ。