【プレミアWEST】ホームの後押しを受けた首位の大津が静岡学園に競り勝ち、高体連チームとして初めてのプレミアWEST制覇でEASTとのファイナルへ
高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2024 WESTの第20節、熊本県の大津町運動公園球技場では、16勝1分2敗で首位を走る大津と、5勝5分9敗の9位・静岡学園という、いずれも来月末に始まる第104回全国高校サッカー選手権大会への出場を決めている高体連チーム同士が対戦。大津は地元でのこの一戦に勝てば2位の神戸U-18の結果にかかわらず初めてのWEST優勝が決まるとあって、3,000人の観客が後押しする完全ホームの雰囲気の中でのキックオフとなった。 【フォトギャラリー】 大津 vs 静岡学園 立ち上がりは静岡学園がやや押し込み、左の原星也が積極的な仕掛けを見せる。だが大津は主将の五嶋夏生ら最終ラインが落ち着いた対応でフィニッシュには持ち込ませず、徐々にボールを握って左右に動かしながらペースをつかんでいく。 それでも、右コーナーに合わせた6分、FKの流れから狙った11分と、いずれも兼松将が迎えたチャンスは枠を捉えきれず。逆に静岡学園も8分に左から星がえぐり、14分にはFKのこぼれから天野太陽が狙うなど、両サイドのスペースをついて反撃。お互いに奪ってからの早い切り替えで攻撃に転じ、緊迫した展開で時間が進んでいく。 大津は21分、嶋本悠大からのパスを受けた畑拓海が右足で決定的なシュートを放つ決定機。ここは静岡学園のGK有竹拓海が阻止したが、アウトサイドでポイントを作ってから内へ入っていく形で流れを引き寄せると、27分、相手DFに囲まれた状況を自らのドリブルで突破した舛井が持ち込んで右足で決め、先制点を奪った。 だが静岡学園も31分、右から佐々木雄基が持ち込んでCKを獲得。これを天野がニアで合わせて同点とする。 直後の32分、大津はDFラインの裏へのボールに山下景司が抜け出すビッグチャンスを迎えたが、再び静岡学園GK有竹拓海の好守に合い追加点ならず。静岡学園も原、佐々木、天野ら攻撃陣が個人技の高さで局面を打開してスタンドを沸かせるが、決定的な形に持ち込むまでには至らず、1-1のまま前半を折り返した。 迎えた後半の立ち上がりは大津が右から形を作ったが、50分過ぎからは静岡学園ペース。後半から天野に代わって送り出された山縣優翔が鋭い動き出しからボールを引き出すと、51分にはポストに嫌われたものの乾皓洋が狙う決定機を作るなど、大津陣内でボールを動かす時間を増やしていく。だが、佐々木、望月就王、篠塚怜音とつないだ57分、その後のコーナーから乾が狙った58分とゴールには迫るが決めきれない。 逆に大津は62分、後半から出場していた溝口晃史がボックス内でボールを受け、「いつもはパスを探すが、今日はボールを受けた時点でゴールのイメージしかなかった」と右足でシュートを選択。一旦はGK有竹に阻まれたが、山下が詰めた後のこぼれに反応して右のサイドに突き刺して勝ち越し、再び1点差とする。 終盤にかけては静岡学園が前に厚みを加えて点を取りに出たが、大津は五嶋を中心としたDF陣が跳ね返すだけでなく、中盤もしっかり横スライドしながら中へのルートを締め、1人1人の球際の強さも見せて2点目は許さず。このまま逃げ切って勝点を52に伸ばし、プレミアWEST初優勝とファイナル進出を決めた。 「残留を目標にスタートしたリーグでしたが、苦しい戦いもある中で勝点を積み上げることができ、途中から日本一を意識するようになりました。静岡学園は選手権でも勝ち上がれば当たる可能性がある相手ですし、こういう苦しいゲームはお互いに隙を見せた方が負けるという試合だったので、今日のような形で得点できたのはチームにとっても意味がある」と大津の山城朋大監督は言い、テクニカルアドバイザーを務める平岡和徳氏も「いろんな苦しい経験を積み重ねて、『進化するブルー軍団』の真骨頂を出してくれた。選手たちやスタッフ陣の頑張りもあるが、支えてくれた保護者の皆さんにも感謝したい」と満足げに話した。 タイムアップの笛が鳴った瞬間の五嶋の咆哮が、選手たちが背負っていたものの大きさを物語るが、WEST制覇は通過点。EASTとのファイナル、そして選手権と、2つの頂を目指す道のりは、これからが本番だ。 (文・写真=井芹貴志)