<プロ野球>和製大砲が育たない2つの理由
両リーグともにホームランランキングの上位を外国人が独占している。パ・リーグは、おかわり君こと、西武の中村剛也が量産ペースに入り、昨年終盤に怪我で本塁打王のチャンスを逃した日本ハムの中田翔、ソフトバンクの松田も上位にいるが、それでもトップのオリックスのぺーニャ(18本)、楽天のジョーンズ(16本)とは開きがある。セ・リーグは、26本と量産させている広島のエルドレッド、続いてヤクルトのバレンティン、巨人のロペス。日本人はヤクルトの雄平が13本で阪神のゴメスと並んでいるくらいだ。過去の本塁打タイトルも、パでは、一昨年までで西武・中村が、4度目のタイトルを獲得しているが、セでは、2007、2008年と連続で本塁打王を獲得した横浜時代の村田修一以来、5年間、日本人タイトルホルダーは出ていない。 和製大砲の人材不足はイコール、日本人4番打者の不在と重なる。セ、パで、日本人の不動の4番は、日本ハムの中田と西武の中村くらい。ロッテは今江敏晃を4番に固定できていないし、巨人の村田も、しばらく4番の座をアンダーソンやセペタに明け渡していた。中日は、開幕から平田良介を新4番に抜擢していたが、結局不振で外されている。外国人の代表されるように本塁打争いにおいては、パワー全盛の時代とも言えるが、なぜ和製大砲は、こうも少なくなったのか。 ■チーム貢献のバッティングが優先される時代 “ミスタータイガース”と呼ばれ、小さな体ながら本塁打タイトルを3度獲得している現在、阪神DCで評論家の掛布雅之氏は、こんな見方をしている。「勝つためのチーム貢献のバッティングが最優先されていることが理由のひとつでしょう。ホームランに頼るような打線のチームコンセプトをどのチームも持っていません。ホームランは、あくまでもヒットの延長というスタンス。村田にしても巨人にきてからコンパクトにつなぐ、返すというバッティングに変わった。自己犠牲の野球が、ペナントレースを制して、もてはやされるようになったことが影響しているのではないでしょうか」。