兄貴、5,000万円払ってくれ…フツーの専業主婦だった母の死から一転、円満なきょうだいが大金を巡って大バトルを繰り広げたワケ【弁護士が解説】
まとまらない話し合い…強制的に着地させる方法は?
では、どうやってこの手のトラブルを解決すればいいのでしょうか? 最も典型的な方法として、「遺産分割調停」という、裁判所を利用した話し合いベースの手続きを進めていくことがあげられます。 遺産分割調停には裁判官も関与しますが、基本的には、手続きに関する調整手続調停委員の方が間に入り、話し合いをベースに解決を図ります。 上述の事例で調停をするならば、兄が調停委員に「支払う代償金は2,000万円でいいと思います」と述べ、次に弟が「あの土地は価値が高いから、やっぱり5,000万円もらわないと割に合いません」と調停委員に伝える…というように、調停委員を介して話し合いを続け、調整していくことになります。 それでも話がまとまらない場合は、最終的にもう少し強制的な手続きで「遺産分割審判」という、裁判とかなり類似的な性格を持つ、「強制的解決」を図る手続を行うことになります。 その際、不動産の評価が折り合わないときには、この遺産分割審判のなかで、裁判所が依頼を出した不動産鑑定士に鑑定評価を出してもらい、それに従って強制的に遺産を分ける、という方法で着地させるケースが多くなります。 このような点から、いずれ「被相続人」の立場になる立場の方は、相続人がつらい思いをしないよう、よく考えて対策を立てておくことが重要なのです。 (※守秘義務の関係上、実際の事例と変更している部分があります。) 山村法律事務所 代表弁護士 山村暢彦
山村 暢彦
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