ピーク時の5割安に カニ大幅値下げの背景にアメリカの経済制裁【WBS】
冬の味覚の王様ともいわれるカニ。ここ数年高騰していましたが、今年は輸入ものはピーク時の5割ほど安くなっています。物価高の中、値下がりの背景には、国際情勢がありました。 年末商戦に向けて、都内のスーパーで販売を始めたのがアメリカ・アラスカ産のズワイガニです。「バルダイ種」といい、ズワイガニの中では大型で高級だといいます。 「ぷりっぷりですね。カニの香りがふわっと広がって、くどくないおいしさです」(藤井由依キャスター) 価格は800グラムで6400円ほど。担当者は例年に比べて割安になっていると話します。一体どのくらい値段が割安になっているんでしょうか? 「カニ全体の相場自体は去年と比較して30%程度安くなっている。客から見たら非常に今年はお値打ちに感じてもらえるのでは」(「イオンリテール」水産商品部の松本金蔵部長) 販売初日。このズワイガニの特大パックを買う客や、2パックまとめ買いする客の姿もありました。価格について聞くと「去年はおととしに比べて値段がだいぶ上がった。今年は少し安いというのでいくらぐらいかなと思って来た」「国産の毛ガニはよく市場で買っているが。最近高くなった。アラスカ産の生とボイル、両方買おうかなと袋を持ってきたが、入るかちょっと心配」と話します。 イオンでは、このカニを今年のカニ商戦の目玉として、本州や四国の360店舗で販売。この年末は帰省する人が増えると予測していて、売り上げを1年前と比べて10%増やす計画です。 イオンは年末年始の消費をどう考えているのでしょうか。 「年末に向けては消費が細るのではなく拡大していくだろうと思っている。大きなチャンスだろうと捉えている」(松本部長) なぜ今年はカニが安いのでしょうか。東京築地にあるカニ料理店。食べ放題が売りで、海外からも客が訪れます。この店はカニの輸入商社「築地蟹商」が手がけていて、店頭には世界各国のカニが並んでいます。 「こちらがロシア産のタラバガニです。特に大きいサイズのカニが多い。ピーク時には1キログラム1万円ぐらいだったのが、今年はその半値近くまで下がっている」(「築地蟹商」の中村格彰会長) 価格が下がった分、今月からカニの丼に使うカニの量を10%増やしました。安くなっている理由について、中村会長は「ここ最近の買いでアメリカが強かった。良いカニが全部アメリカに行っていたが、ロシアの水産物の輸入をアメリカが止めてしまったので行き場を失ったカニが日本と中国に流れた」と、背景にはロシアのウクライナ侵攻によるアメリカの経済制裁があるといいます。