ついに始まる“自動車”の再定義 変化する自動車と人、そして社会の関わり
現在、東京ビッグサイトで開催している第44回東京モーターショーでは、各社から斬新なコンセプトカーや今後発売を予定している新車種、新技術が数多く展示されています。この記事では、数多くの展示の中で近未来の自動車社会を占う展示に注目し、自動車社会の未来の姿を予想します。果たして、自動車と人・社会の関わりは、未来に向かってどのように変化していくのでしょうか。
ついに始まる“自動車”の再定義、100年余り続いた歴史の大転換か
各社の先進的な展示から感じるのは、大衆車の原点と言われる1908年「T型フォード」以来100年余り続いた、「自動車」というものの定義そのものが、今後大きく変わっていくのではないかということです。 これまでの東京モーターショーでも先進的な技術の展示はありましたが、今回は会場全体が“新しい自動車社会を作る”という空気に包まれており、各社の本気度が伺えます。メーター類が整然と並んだダッシュボードを前にドライバーがハンドルを握り、エネルギーを消費して排ガスを出しながら目的地へと向かう。そんな自動車の姿は、5年後、10年後には過去のものになっているかもしれません。 例えば、「自動車はドライバーが操縦するものだ」という従来の定義の根底を覆す自動運転技術。各社が独自技術で競い合うようにプレゼンテーションを繰り広げていましたが、その方向性にはいくつかの特徴が見られます。 日産自動車が発表したコンセプトカー「IDS Concept」は、ドライバーに「操縦する」という選択肢を残しながら、ドライバーがクラウド上に保存したスケジュールに連動してドライブルート(行先とスケジュール)を自動で選定したり、自動運転中のドライバーが楽しめる機能を盛り込んだり、ドライバーが降車したあとに自動車が自動で駐車場に移動したりなど、ドライバーを操縦という作業から解放するだけでなく、自動車が運転以外のシーンでも自分で判断してドライバーを支援する、“パートナー”としての印象を強く与えています。