【耐えられない痛み】増加する『帯状ほう疹』若い世代も要注意!合併症で結膜炎や顔面神経麻痺などのおそれも どんな人が発症しやすい?
若い世代もリスクあり!?発症率が増えているワケ
では、どんな人がなりやすいのか?年代別・男女別の発症数を示したグラフを見ると、50代~60代で増加していて、発症数は女性の方が多いです(出典:「宮崎スタディ」宮崎皮膚科医会・外山望 ※1997年~2019年)。 しかし、高齢者以外の世代も要注意です。1997年の発症率を1とした場合の増減率で見ると、60歳以上や60歳未満だけではなく、20代~40代も「2014年」を境に大きく上がっています。 実は2014年は、子どもに対する水ぼうそうの「水痘ワクチン」が定期接種化した年です。ではなぜ、子どもへのワクチン定期接種の導入で、大人の帯状ほう疹の発症率が上がるのか?それは、“ブースターの機会減少が原因ではないか”と推測されています(国立感染症研究所「帯状疱疹ワクチンファクトシート」より)。 冒頭で説明したように、水ぼうそうと帯状ほう疹は、原因となるウイルスは同じです。そして多くの成人は、子どもの頃に水ぼうそうにかかっているため、免疫を体内に持っています。ワクチンが定期接種化する前は、大人になって自分の子どもなどが水ぼうそうにかかった際、“再び薄くウイルスに感染”することで、自身が持つ「水ぼうそうに対する免疫」がパワーアップしていました。 しかし2014年以降、子どものワクチン定期接種が導入されると、水ぼうそうに感染する子どもが一気に減ったのです。そうなると、大人がウイルスに薄く暴露する機会が減るため、免疫のパワーアップがされず、帯状ほう疹を発症する大人が増えたのではないか、と推測されています。
ワクチンの対象は基本的に『50歳以上』
次に、ワクチンの現状についてです。ワクチンは「乾燥弱毒生水痘ワクチン」と「シングリックス」の2つがあります。乾燥弱毒生水痘ワクチンは生ワクチンで、ウイルスを弱毒化したものを体内に入れるというもの。対象は50歳以上で、接種回数は1回。費用は約8000円です。発症予防効果は約50%~70%(海外でのデータ)、持続期間は5年間(海外のデータ)です。 一方でシングリックスは不活化ワクチンのため、ウイルスとしては活動していない成分を体内に入れます。50歳以上または、免疫が一般の人よりも低いなど高リスクの18歳以上が対象です。接種回数は2回で、費用は2回で約4万円かかります。50歳以上では97.2%の発症予防効果があるとされていて、持続期間は10年以上です。 基本的に若い世代は、日本でこうしたワクチンを受けることができないのが現状です。 自治体によってはワクチン接種の助成制度もあります。ただ、助成制度がある自治体ならどこの病院でも助成が受けられる、というわけではありません。気になる人は自治体のホームページを確認するか、市役所に問い合わせてみてください。