ドラマ脚本も話題「バカリズム」溢れる才能の原点。コンビ時代からも見えた才能の片鱗。
『QuickJapan Vol.121』(太田出版)のインタビューの中で、バカリズムは「(クラスの権力者ともめて)全員に無視されたときとかもあった」という小学生時代を振り返りながらこう語っている。 「血の気の多い地域なので、腕力が強い子が絶対的な権力者になるし。そこで強い子たち全員とケンカしていってもしょうがないから、いかに少ないダメージで自分の自由を守っていくかっていう。僕みたいに身体のちっちゃいやつが、自分の腕力で手に入る以上の立ち位置を獲得するにはどうすればいいかっていうのは、考えたと思います」
ライブ、バラエティー、ドラマや映画など、幅広いジャンルで活躍するにはクリエイターとしての才能だけでなく、高いモチベーションやタフさが求められる。 昨年2月に放送の『佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送)の中で、テレビプロデューサーの佐久間宣行氏、作家のオークラ氏、東京03の飯塚悟志が、多忙な中でドラマ脚本を書くバカリズムの仕事ぶりに「あり得ない」と口を揃えていたのを思い出す。
その声は、非常にタイトなスケジュールの中で分野の異なる情報を整理、処理していく能力に対する賞賛もさることながら、クオリティーを下げないまま尋常ではない仕事量をこなして尚新たな仕事に向き合おうとする九州男児・バカリズムに対する畏怖の念が込められているように思えた。 ■「シュール」から脱した 客観性、柔軟性の高さもバカリズムの大きな特徴だ。それはネタやドラマに対する向き合い方だけでなく、芸能界におけるポジショニングからも感じられる。
ピンになって間もなく、バカリズムはアイドル番組『アイドリング!! !』(フジテレビのCS放送および地上波/2006~2015年放送終了)のMCを担当しているが、オファーがあった当初は断るつもりだったという。 YouTubeチャンネル『佐久間宣行のNOBROCKTV』(2022年11月9日配信の動画)の中でバカリズムはこう語っている。 「僕は芸人としてライブで動員を増やしていって、たまにネタ番組でやれるぐらいでいいやと思ってたから。(筆者注:アイドル番組に出ると)自分のイメージが壊れちゃうと思ったんですよ。だいぶ無理しなきゃいけないし、ネタにも影響するし。