ドラマ脚本も話題「バカリズム」溢れる才能の原点。コンビ時代からも見えた才能の片鱗。
実際、2009年からスタートした大喜利No.1を決定する大会『IPPONグランプリ』(フジテレビ系)の初代王者であり、これまでに6度の優勝という最多記録を持つエリートでもある。 発想力、お題に対する角度、独特なタッチのイラストのほか、いつくもの回答をストックするスピード感、ライバルたちの回答の流れを踏まえた戦略など、競技性のある大喜利において唯一無二の才覚を発揮し、今年は芸能活動を休止しているダウンタウン・松本人志の代理としてチェアマンを務めたのも記憶に新しい。
■学生時代から才能の片鱗があった 驚くべきは、学生時代からすでにその片鱗があったことだ。 バナナマン、東京03の単独ライブを長らくサポートしているコント作家・オークラ氏は、著書『自意識とコメディの日々』(太田出版)の中で、自身が芸人として活動していた時代に日本映画学校(現・日本映画大学)の生徒としてマセキ芸能社の事務所ライブに登場したバカリズム(当時はコンビ)の衝撃をこう書いている。 「その時やっていたネタが『恥ずかしい行為を競い合う世界大会で優勝した男のインタビュー』というもので、優勝した選手とインタビュアーが大会を振り返っているだけなのだが、具体的な競技内容も見せず、断片的な情報で大会内容を想像して楽しむというコントだった。
自分が作るシステムコント(筆者注:オークラ氏が個人的に名付けたコントジャンル。主には、演じる世界に1つのシステムを作り、それを前提に話を進め、見る者に理解させたところで展開の仕方、崩し方でさらに笑いを作るコント)よりスマートで、かつ枠からはみ出さないシンプルな構成、そして余計な笑いもないがポイントポイントで確実に笑わせる、すごく美しいコントだった」 1999年から『爆笑オンエアバトル』(NHK総合)がスタートし、2000年代にネタ番組ブームが訪れるも、バカリズムに対する世間の評価はそれほど高くなかった。