自転車に乗った数十万人の大群が50km先を目指して爆走…習近平が頭を抱える中国の若者たちの「無言の抗議」
■相次ぐ住宅ローン金利引き下げも… ネットセールの不振に代表される消費低迷の主因は、不動産不況による家計のバランスシート調整である。さらに、高失業率に喘ぐ若年層を中心に節約志向が高まっていることもある。 この辺りの解説は前回の記事(なぜ中国人の「爆買い」は消滅したのか…経済をボロボロにした習近平指導部が手を出した“劇薬”の正体)に譲るが、この2つの問題が改善に向かえば、中国の消費は安定した拡大局面を迎えることが可能となろう。しかし、そのハードルは高い。 2024年9月下旬以降、中国政府は住宅市場テコ入れ策を矢継ぎ早に発表・実施している。このうち、住宅需要を刺激しうるのは、住宅ローン金利のさらなる引き下げと、2軒目の住宅ローンの頭金割合の一段の引き下げだ。 各地方政府が決定する住宅ローン金利については、2024年5月に下限が撤廃され、大幅に引き下げられた。さらに、7月の政策金利(LPR5年物)の0.1%pt引き下げ、10月の0.25%pt引き下げに伴い、住宅ローン金利は同じ幅だけ引き下げられている。2024年に入ってからだけで都合3回の引き下げだ。 例えば、上海市の1軒目の住宅ローン金利は、従来の3.85%→3.50%(5月)→3.40%(7月)→3.15%(10月)に、同様に2軒目(市内)は、4.25%→3.90%→3.80%→3.55%に引き下げられている。 ■住宅価格の上向きがまるで見通せない 住宅ローンの頭金割合については、従来は1軒目20%以上、2軒目30%以上であったが、2024年5月にそれぞれ15%以上、25%以上に引き下げられた。さらに今回は2軒目も15%以上に引き下げられている。実需だけでなく、投資・投機需要をも刺激しようとしているのであろう。 デベロッパーへの金融面の支援を含め、これだけ矢継ぎ早の政策が打たれれば、住宅購入者のセンチメントが好転し、過去3年にわたり抑制されてきた住宅実需が回復するとの期待は持てる。 例えば、2軒目の住宅ローンの頭金の割合引き下げに関連して、狭くて古い物件に住んでいる家庭が、より快適な住宅に買い替えたいというニーズはある程度存在しよう。一方で、投資目的で住宅を購入する人々にとっては、住宅価格の中長期的な先高観が台頭することが重要となろう。 しかし、直近2024年10月の新築住宅価格は前年同月比マイナス6.2%、中古住宅価格は同マイナス8.9%と、それぞれ31カ月、33カ月連続の下落となった。住宅価格が中長期的に上昇するとの期待が高まるということは並大抵の話ではない。