「ふわふわ」という名前からは想像できない…急成長の障害者ホーム元社員たちの驚くべき証言 「うその記録で不正に報酬」「勝手に印鑑」
障害者がアパートのような建物や一軒家などで共同生活をする「グループホーム」(GH)が近年、全国で増えている。ホームの職員から支援を受けながら、地域社会で自立した生活を送ってもらおうと、政府が開設を後押し。障害者や家族のニーズもあって、今やさまざまな事業者が参入し、全国に約1万3千カ所ある。その中でここ2~3年、「ふわふわ」という名称でGHを急激に増やしている会社がある。「入居者から食材費を過大に徴収していたようだ」。最初に入ってきたのは、そんな情報だった。ところが元社員たちに話を聞いていくと、そのほんわかした名前とは懸け離れた驚くべき証言が次々と飛び出してきた。(共同通信=市川亨、岩原奈穂) ▽売上高は4年で10倍超に 「ふわふわ」を運営するのは、2012年に名古屋市で設立された「恵(めぐみ)」という株式会社だ。今年7月に本社を東京に移したが、「西日本支社」として名古屋市にも拠点を構える。
元社員らによると、愛知県出身の中出了輔(なかで・りょうすけ)社長(34)と2人の弟、母親が中心となり、立ち上げた。「恵」という社名は母親の名前の一文字から取ったという。 2018年に名古屋市内に一つ目のGHを開設。その後、愛知県を中心に数を増やしていき、ホームページによると現在は仙台や関東、福岡など12都県で約120カ所を運営する。GHのほかにも通所施設や訪問看護ステーション、障害児向けの放課後等デイサービスなどを手がけている。主な対象は知的、精神障害者だ。 信用調査会社によると、2018年の売上高は3億円弱だったが、22年の売上高は約38億円と、わずか4年で10倍超に増えた。 「上場して会社を売り、お金を稼ぎたい。それには、あとこれだけGHが必要だ」。複数の元幹部社員は中出社長や役員がそんな話をするのを聞いたという。「GHを『店舗』、利用者を『お客さん』と呼び、『利益は山分けだ』とかお金の話ばかりしていました」と元幹部社員。