「ふわふわ」という名前からは想像できない…急成長の障害者ホーム元社員たちの驚くべき証言 「うその記録で不正に報酬」「勝手に印鑑」
これに対し恵は取材に「不正の事実はない。そうした話には悪意を感じる」と答えた。 ▽「一食30円。ご飯を糸こんにゃくでかさ増し」 GHの食事は、実際にかかった食材費を徴収するのが本来だが、恵は事前に「月2万5千円」などと定額で設定。数年前まで勤務していた元社員によると、入居者や家族の口座から引き落とし、本部が各GHに現金で配っていたという。 ところが、実際に現場に下りてくる予算は徴収額の3分の1程度。平日は2食で、土日は3食。「入居者の人数に対し、どう考えても無理」。少しでも安いスーパーを回り、スタッフが自腹を切ったり、食材を自宅から持ってきたりして提供していた。役員に増額を求めたが、「会社の決まりだから、その金額でやって」と断られたという。 障害者向けの住宅型有料老人ホームで働いていた看護師はこう証言する。「パンフレットでは、1食数百円と書いていたのに、実際の予算は1食30円ほど。ご飯を糸こんにゃくでかさ増しして、おかずを上に載せた丼だけで済ませていた。カップラーメンだけのこともあった」
訪問看護ステーションに勤めていた看護師は、憤りながら話す。「食材費はなるべく削るよう役員から指示が下りていて、粗末な食事のため低栄養で痩せていく入居者が何人もいた」 過大徴収も故意だったのか。ある元幹部社員は「徴収する食材費に、買い出しに使う車のガソリン代や調理の人件費も含めてよいのだと勘違いしていた」と否定。一方、別の元社員は「上層部は分かってやっていた」と話しており、見方は分かれる。ただ、元社員の多くが会社の利益優先主義を背景に挙げた。 恵は今年春ごろから入居者の家族向けに説明会を開き、「全事業所を調査し、利用開始時点までさかのぼって返還する」との方針を示している。だが、GHを既に退去したある障害者の家族は「一切、説明がない」と話す。 ▽経済的虐待、厚労省が特別監査に 食材費の過大徴収について愛知県は今年5月、障害者総合支援法に基づき、恵のGHを立ち入り検査。愛知県から情報を受けた厚労省は6月、恵のGHがある他の自治体にも調査を要請した。これまでに群馬、神奈川、愛知3県で過大徴収が判明している。