能登半島地震教訓に地震の長期評価を前倒し公表へ 政府の地震本部、防災対策への活用期待
「日本全国どこも危ない」と強調
地震本部も長期評価について次のような注意点を挙げている。 「過去の地震活動の時期や発生間隔は幅を持って推定せざるを得ない場合が多いため、地震発生確率値は不確定さを含んでいる」「地震発生確率値が小さいように見えても地震が発生しないことを意味していない。特に活断層で起きる地震は、発生間隔が数千年程度と長いため、30年程度の間の地震発生確率値は大きな値とはならない」 実際、1995年の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)の発生直前の発生確率は0.02%~8%、2016年の熊本地震はほぼ0%~0.9%だった。
地震調査委員会委員長も務める平田直東京大学名誉教授は能登半島地震後の関連学会で、能登半島沖海底活断層の長期評価を急ぐ考えを明らかにした上で、「日本全国どこも危ないと思ってもらいたい」と強調している。 地震発生確率は社会・経済的影響がとてつもなく大きい巨大地震に高い関心が集まっている。少しでも被害を低減する減災対策を進めなければならない。しかし同時に「いつでも、どこでも起きる」活断層型地震も忘れてはならない。今回の能登半島地震のように突然、高齢化と人口減少が進む過疎地を襲う。長期評価を一つに目安にしながら、その数値だけにとらわれることなく、国の、自治体の、そして身の回りの「備え」を徹底したい。 (内城喜貴 / 科学ジャーナリスト、共同通信客員論説委員)