メインバンク取引社数 増加率トップ GMOあおぞらネット銀行 山根武社長 単独インタビュー
―融資の審査について
融資に関しては、前提として預金口座を開設していただき、フリー(株)(品川区)が提供しているアプリ「freee入出金管理withGMOあおぞらネット銀行」に、他行の口座情報を含めデータ連携していただく。GMOあおぞらネット銀行だけではなく、他の銀行の口座情報も連携することで、一定期間の入出金データをもとに、融資審査を行っている。 それに加え、社員が顧客へのヒアリングを行い、最終的に融資実行の判断をしている。このアプリにデータを同期していただくだけで、財務諸表や試算表などの提出は一切必要ない。 提供している融資の上限金額は少額ではあるが、我々もお客さまと共に成長し、融資可能額が大きい商品の提供はもちろん、それに合わせて最適な審査モデルを考え、構築していく必要がある。
―今後について
先月(2024年10月)ようやく、業務純益(本業の利益)ベースで単月黒字化が達成できた。今年度は、通年でも黒字化ができるのではないかと思っている。戦略は2021年の第二創業以降、大きく転換していない。法人口座の増加と、そこから生まれる稼働収益で収益基盤と顧客基盤を作っていく。 加えて、もう一つの柱であるBaaS(バース、銀行のサービスを事業者が自社サービスに組み込めるサービス)の提案をこの数年注力している。法人口座から生まれる内国為替等の決済、融資といった稼働収益により、黒字化を果たし資本が蓄積できるようになれば、BaaS事業における更なる投資ができるようになる。これを第二成長の起爆剤としているのが中期的なビジョンだ。 2024年2月に池田泉州ホールディングスのデジタルバンク子会社「01Bank(ゼロワンバンク)」や岡三証券のお客さまに提供する銀行サービス「岡三BANK」など、事業会社だけではなく金融機関も含めた分野にBaaS提供を開始しており、今後も提案を強化していきたいと考えている。
―マイナス金利が解除され、「金利ある世界」となった
我々は、法人をターゲットにした戦略をとっており、その戦略が功を奏し、メインバンクとして決済口座の利用が増加し、結果的に流動性預金が増加している。当社財務的にはマイナス金利解除における影響はプラスになる。 一方、金利がある世界になると、銀行はこれまで以上に預金の争奪戦になっていくのではないか。我々は、法人のメイン口座として使っていただくことによって、非常に粘着性のある預金が集まっているが、預金の動向については日々注視している。 当社のお客さまには中小企業が多いため、金利が上がることによって物価の変動や資金調達コストが上がっていくことによる事業へのインパクトなどは、マクロとしてよく見ていかなければならない。この顧客層が苦戦すれば、それだけトランザクションが減ったりするので、しっかり見ていきたいと考えている。